全日本空輸(ANA/NH)は2月14日、ボーイング787-8型機の初号機(登録番号JA801A)を再塗装するため、成田空港から整備工場のある伊丹空港へフェリー(回送)した。ANAが787の機体を塗り直すのは今回が初めて。2011年の就航以来まとってきた特別塗装から、同社の通常塗装に塗り替えられる。
*再塗装後の記事はこちら。
ANAは2004年4月26日、ローンチカスタマーとして787を50機購入すると決定。標準型の787-8を36機、長胴型の787-9を44機、超長胴型となる787-10を3機の計83機を発注済みで、787の発注数としては世界最多となっている。
14日時点で、787-8は36機全機を受領済み(エバレット工場製32機、チャールストン4機)、787-9は21機が引き渡され、787-10は2019年度から納入が始まる。
ANAの787は、初号機と2号機(登録番号JA802A)の2機が特別塗装機で、JA803AからJA824Aまでが前部胴体に「787」と大きく描いた787ロゴ塗装機。2014年2月6日に引き渡されたJA825A以降が、通常塗装機となっている。
初号機は2011年8月6日製造。製造番号は34488、ライン番号は0008で、エンジンはロールス・ロイス製トレント1000-A2(推力2万8940kg)を2基搭載し、同年9月25日に受領した。中距離国際線仕様機で、座席数は就航当初は264席だったが、2013年10月の改修で222席に変わり、2015年11月の改修で現在の240席(ビジネス42席、エコノミー198席)になった。
最初の商業フライトは、世界初の787による運航便である、2011年10月26日の成田発香港行きチャーター便のNH7871便。2014年6月には、世界初となる787の重整備(Cチェック)を羽田の格納庫で実施した。
特別塗装での最後の商業フライトは、プノンペンを2月12日夜に出発した成田行きNH818便。12日時点の総飛行時間は1万3684時間33分、総サイクル数は4932サイクルにのぼる。
14日のフェリーフライトの成田発伊丹行きNH9041便は、午前9時54分に成田の422番スポット(駐機場)を出発。午前10時11分にA滑走路(RWY34L)から離陸した。午前11時8分に伊丹のB滑走路(RWY32L)へ着陸し、同14分に2番スポットへ到着した。
初号機の塗装作業は、15日からANAホールディングス(9202)が出資する整備会社MROジャパンの格納庫で行われる。
全日空整備を前身とする同社は、これまでにANAの「東北FLOWER JET」(737-800、JA85AN)や、映画『スター・ウォーズ』に登場する新キャラクター「BB-8」をデザインした「BB-8 ANA JET」(777-300ER、JA789A)、「スター・ウォーズANAジェット」(767-300ER、JA604A)、創立60周年記念の「ゆめジェット」(767-300、JA8674)など、ANAの特別塗装機も手掛けている。
MROジャパンは、2月3日に大阪航空局から787の整備や改造に必要な限定変更承認書を取得。航空法第20条第1項第4号に基づく航空機整備改造認可の限定に、787を追加した。
ANAが787を塗り直すのは初めてで、作業は2週間程度掛かる見通し。
*写真は25枚。
*作業中の様子はこちら。
フェリーフライト
NH9041 成田(09:54)→伊丹(11:14)
特別塗装最後の商業フライト
NH818 プノンペン(12日22:50)→成田(13日06:07)
関連リンク
全日本空輸
ANAホールディングス
Boeing
ボーイング・ジャパン
MRO Japan
写真特集・ANA787初号機JA801Aリペイント
前編 さよなら”鯖”塗装(17年3月4日)
後編 787ロゴ消え他機種と統一(17年3月6日)
通常デザイン塗装で登場
・ANAの787初号機、通常塗装で登場 初の再塗装機(17年2月28日)
伊丹到着後はドローン実証実験に使用
・ANA、ドローンで被雷点検 伊丹で787使い検証(17年2月15日)
就航5周年
・ANAの787、就航5周年 初便は香港行きチャーター(16年10月27日)
世界初の787重整備
・ANA、世界初の787重整備 写真特集・JA801A初回Cチェック(14年6月30日)