日本航空(JAL/JL、9201)と山形県は1月16日、東京・銀座にある同県のアンテナショップ「おいしい山形プラザ」で、特産品販売や観光パンフレットの配布を実施した。
アンテナショップの入口では、1月から2月の厳冬期に日本海で水揚げされる真鱈(マダラ)をぶつ切りにし、白子やネギなどを入れて味噌仕立てにした庄内地方の郷土料理「寒鱈汁(かんだらじる)」が500杯振る舞われ、JALの藤田直志副社長や山形県出身の客室乗務員、大屋明子さんと森川千尋さんらが通行人を呼び込んだ。昼時とあって、会社員や銀座を訪れた人たちが列を作っていた。
山形県とJALは2013年、航空会社の自助努力だけでは路線維持や充実が困難な路線を、地域と航空会社の共同提案で増便などにつなげる「羽田空港発着枠政策コンテスト」に応募。発着枠が配分された2014年3月30日から、羽田-山形線を1日2往復に増便した。
増便前の2013年度と比べ、2015年度の乗客数は約3倍の8万3812人に増えた。提供座席数は1往復増により約2倍の11万517席で、ロードファクター(座席利用率)は2013年度の52.1%から23.7ポイント上昇し、75.8%と大幅に改善した。
増便前は昼間に1往復だったが、羽田・山形ともに出発時間を朝と夜に設定し、利便性を向上させた。機材はエンブラエル170(E170)型機(76席)で、グループ会社のジェイエア(JAR/XM)が運航している。運賃面でも、搭乗前日まで予約できる「特便割引1」の最安値を、新幹線の指定席と同等の片道1万1590円としている。
藤田副社長は、「(増便により)認知度が上がってきた。山形は食事がおいしく、歴史もあるので、さらにリピートしていただける。JR東日本も東北に力を入れており、一緒に盛り上げていくのが大事だと思う」と語った。
今後の課題については「東北1県1県を特徴づけているが、首都圏から山形への需要を取り込むのが課題。外国人には専用運賃をもっとプロモーションしていきたい」と、東京を中心とする首都圏発の需要開拓と、増加する訪日客の東北への送客を課題に挙げた。
「地元の人たちにとって普通の風景や、アニメの聖地は外国人にもささるのではないか」(藤田副社長)と話した。
JALの社員が県のアンテナショップなどでピーアールする活動「がんばるJAL大作戦」は、2010年1月19日の経営破綻前、2009年9月9日に東京・有楽町のJALプラザ前で行ったのが最初。職種や部門を超え、利用を呼びかける取り組みとしてスタートした。現在は東日本大震災の被災地支援として、2013年6月に始めた「行こう!東北へ」プロジェクトの一環として、東北各県の特産品販売を手伝い、観光ピーアールするイベントを定期的に開いている。
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