エアバス, エアライン, 機体, 空港, 解説・コラム — 2017年1月8日 22:37 JST

キャセイパシフィック航空のA350、関空へ就航 収納と快適性にこだわり

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 キャセイパシフィック航空(CPA/CX)は1月8日、エアバスA350-900型機を関西空港へ就航させた。同社のA350が日本へ就航するのは初めてで、関空へのA350就航は3社目となった。

関西空港を出発するキャセイパシフィック航空のA350-900=17年1月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 キャセイのA350の座席数は280席で、ビジネス38席、プレミアムエコノミー28席、エコノミー214席の3クラス構成。ビジネスとプレミアムエコノミーは、「ステュディオ・F.A. ポルシェ(Studio F.A. Porsche)」がデザインを手がけた。

 3クラスとも、電源コンセントと充電用USB端子を備え、快適性だけではなく収納スペースにもこだわりがみられる。

ビジネスクラス

 ビジネスは、全長191センチのフルフラットベッドになるタイプで、1-2-1席配列。シートを斜めに配置するヘリンボーン配列で、収納スペースを手の届く範囲に多く配置し、小物やノートパソコンなどをしまいやすくした。

 シートピッチは45インチ(114センチ)で、現行のボーイング777-300ER型機に搭載されているビジネスより2インチ広くなった。シート幅は20.2インチで、個人用モニターは18.5インチとなっている。

 また、ビジネスの前方ラバトリー(洗面所)は窓付きとした。

ヘリンボーン配列を採用したキャセイパシフィック航空のA350-900のビジネスクラス=17年1月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

プレミアムエコノミー

 プレミアムエコノミーは、2-4-2席配列。シートピッチは40インチ(102センチ)でエコノミーより8インチ広く、現行の777-300ERに搭載されているシートより2インチ広くなった。シート幅は18.5インチ、リクライニングは9インチ、個人用モニターは12.1インチとした。

 レッグレストを完備し、アームレストは格納式のものを採用。キャセイのプレミアムエコノミーでは初となる、明るさを調節出来る読書灯を備えた。ビジネスと同様収納スペースも多く用意し、メガネやパスポートなどをしまいやすくした。

キャセイパシフィック航空のA350-900のプレミアムエコノミークラス=17年1月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

エコノミークラス

 エコノミーは、3-3-3席配列。シートピッチは32インチ(81センチ)と国際線用機材では一般的な値で、シート幅は18インチ、リクライニングは6インチ、個人用モニターは11インチと777-300ERに搭載されているものより2インチ大型化した。

 ヘッドレストを独自の形状にし、快適さを向上。タブレット端末をセットできるタブレットホルダーを設けた。

キャセイパシフィック航空のA350-900のエコノミークラス=17年1月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

機内Wi-Fi

 機内Wi-Fiサービスも完備。ウェブサイトの閲覧やSNSサービスへの投稿、電子メールの送受信などができる。動画のストリーミングサービスの視聴には適していないという。料金は、6時間以下のフライトが12.95米ドル(約1515円)、6時間を超えるフライトが19.95米ドルで、1時間のみの利用だと9.95米ドルとなる。また、スマートフォンなどによるデータ通信のローミングにも対応している。

 衛星放送のテレビ番組も視聴でき、英BBCや米CNN、欧州Euronewsが各席の個人モニターで見られる。

関西空港で出発を待つキャセイパシフィック航空のA350-900=17年1月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

初便は定刻出発

 関空到着初便となった香港発台北経由のCX564便(A350-900、登録番号B-LRI)は、7日午後8時34分に到着。乗客は258人、乗員は13人(パイロット2人、客室乗務員11人)だった。

 出発初便となるCX565便は、乗客163人(幼児1人含む)と乗員13人(パイロット2人、客室乗務員11人)を乗せ、定刻の8日午前10時45分に4番スポット(駐機場)を出発し、午前11時5分に離陸して経由地の台北へ向かった。

 出発前の搭乗口付近では、空港などのイベントで恒例となったフォトフレームコーナーが用意され、乗客が記念撮影していた。

関西空港の搭乗口前では、恒例のフォトフレームコーナーが設けられた=17年1月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

パイロット慣熟考慮し路線選定

 キャセイはA350 XWBを48機発注済み。長距離国際線の主力中型機で、初号機(登録番号B-LRA)は2016年5月29日に香港へ到着した。2016年は10機受領しており、今年末までに残り12機が引き渡される見通し。2018年から2020年の間に、長胴型のA350-1000を26機受領する計画を進めている。

 最初の路線は、2016年9月1日に投入した香港-デュッセルドルフ線。翌2日からは香港-ロンドン(ガトウィック)線、10月28日からは香港-オークランド線に就航している。今後は3月に香港-バンクーバー線とテルアビブ線、6月に香港-マンチェスター線に投入し、年内にローマとパリにも乗り入れを始める。

 日本路線は、関空への不定期投入からスタートし、1月16日にもCX564/565便に投入。その後は、2月と3月にCX564/565便へ週1往復から週4往復の頻度で就航させるが、曜日は現段階で決まっていないという。また、2月6日から3月5日までは、香港-関西線のCX566/567便に2月から3月まで毎日投入する。

 キャセイによると、A350のパイロット養成を進めているため、日本路線は1回のフライトで離着陸を直行便よりも多く経験できる経由便のCX564/565便から導入したという。

 日本へのA350の初飛来は、2014年11月19日に羽田へ到着したエアバスが保有する飛行試験5号機(MSN5、登録番号F-WWYB)。定期便によるA350の日本初就航は、ベトナム航空(HVN/VN)のホーチミン-成田線で、2015年9月20日に就航。関空初もベトナム航空で、2016年10月30日にホーチミンから乗り入れた。また、定期便就航前の10月13日にも関空へ飛来している。

 成田へはフィンエアー(FIN/AY)が、関空へは台湾のチャイナエアライン(中華航空、CAL/CI)も乗り入れを始めており、羽田へはシンガポール航空(SIA/SQ)が2016年12月14日に初就航した。A350を今後導入するデルタ航空(DAL/DL)も、早期の日本路線投入を示唆している。

 日本の航空会社では、日本航空(JAL/JL、9201)が777の後継機として、A350-900とA350-1000を合わせて最大56機導入。運航開始は2019年を予定しており、777を6年程度で置き換える。

*写真は15枚。
*写真特集第1回ビジネスクラス編はこちら
*写真特集第2回プレエコ・エコノミー編はこちら

関西空港で出発を待つキャセイパシフィック航空のA350-900=17年1月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関西空港で出発を待つキャセイパシフィック航空のA350-900=17年1月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ヘリンボーン配列を採用したキャセイパシフィック航空のA350-900のビジネスクラス=17年1月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

キャセイパシフィック航空のA350-900のビジネスクラス=17年1月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ビジネスクラス窓側席の個人モニター=17年1月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ビジネスクラス中央席=17年1月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ビジネスクラス中央席の足もとスペース=17年1月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空発初便は台北経由香港行きCX565=17年1月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

CX565便の乗客に記念品を配るキャセイパシフィック航空の係員=17年1月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
キャセイパシフィック航空
Airbus
エアバス・ジャパン

写真特集・キャセイパシフィック航空A350-900
ビジネスクラス編 収納と快適性こだわったヘリンボーン配列(17年1月14日)
プレエコ・エコノミー編 ダークグリーンで統一(17年1月16日)
操縦室・ギャレー編 ギャレーに大きなテーブル、操縦席は大型画面(17年2月19日)

キャセイパシフィック航空のA350
キャセイパシフィック航空、A350初号機受領(16年5月30日)

日本へのA350就航
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