羽田空港国内線ターミナルを運営する日本空港ビルデング(9706)は12月15日、館内案内や清掃、移動支援に使うロボットの実証実験を始めた。ソフトバンクロボティクスの「Pepper(ペッパー)」など、17台のロボットが参加する。
空ビルではロボットの技術検証を目的に「Haneda Robotics Lab(ハネダ ロボティクス ラボ)」を設け、今年9月20日から10月13日まで事業者を公募。第1期事業者として選ばれた17社の内訳は、清掃ロボットが4社、移動支援ロボットが5社、案内ロボットが8社となった。
ロボット導入を進める背景には、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向け、サービスや利用者の満足度向上が求められる反面、空港で働くことができる労働生産人口が減少している問題がある。
実証実験は国内線第2ターミナル2階の出発ロビー南側で、2017年2月13日まで実施。清掃ロボットは12月15日から22日、移動支援ロボットは1月10日から23日、案内ロボットは1月24日から2月13日までで、いずれも午前10時から午後4時30分までを予定している。実験開始を前にした14日は、参加する17台のロボットが勢揃いした。
実験では、年間7500万人以上が利用する羽田空港で、ロボット自体の安全性や、不特定多数の人が利用する公共空間でロボットを稼働させることの安全性、導入効果の3つを検証。空港を訪れた人にロボットを身近に感じてもらうとともに、日本の最先端技術を世界に発信していく狙いがある。
実験に参加する清掃ロボットは、フィグラの自律走行式ロボット「F.ROBOCLEAN(エフロボクリーン)」と中西金属工業の床洗浄ロボット「ROBO Cleaper」、アマノ(6436)の床洗浄ロボット「SE-500iX II」、NGP-FOTECの窓拭きロボット「Windowmate」の計4台となる。
移動支援ロボットは、ZMPの台車型物流支援ロボット「CarriRo(キャリロ)」、A.M.Y.クリエイティブの常時バランスを保てる「INMOTION R1EX」、匠の自律型搬送ロボット「TUG」、本田技研工業(7267)の重心移動するだけでさまざまな方向に進める「UNI-CUBβ」、WHILLの全方位タイヤを装備する「WHILL NEXT」の計5台となっている。
もっとも参加台数が多い案内ロボットは、インディ・アソシエイツの遠隔操作型ロボット「Airport Concierge CAIBA(カイバ)」、BRULE Inc.のインターネット経由でビデオ通話をしながら遠隔操作できる「Double2」、日立製作所(6501)のヒューマノイドロボット「EMIEW3(エミュースリー)」、NextremerのAI(人工知能)を活用した対話システム「MINARAI」、ソフトバンクロボティクスの自律型ロボット「Pepper(ペッパー)」、SEQSENSEの警備ロボット「SQ-1H」、綜合警備保障(2331)の警備・案内ロボット「Reborg-X」、シャープ(6753)の携帯型ロボット電話「RoBoHoN(ロボホン)」の8台が実験を行う。
今回の実証実験は、経済産業省の「ロボット導入実証事業」を活用。政府が進める「改革2020」プロジェクトの実現に向けた取り組みの一つとして、空ビルは国土交通省や経産省と連携して実験を進めていく。
関連リンク
Haneda Robotics Lab
羽田空港国内線旅客ターミナル
国土交通省
経済産業省
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