エアバスは現地時間12月9日、パーツ輸送を担う次世代大型輸送機「Beluga XL(ベルーガXL)」の最終組立を、仏トゥールーズで始めたことを明らかにした。
ベルーガXLは、現行の大型輸送機A300-600ST「ベルーガ」の後継機。A350 XWBファミリーの増産に伴い、2014年11月に開発が発表された。A330-200F貨物機をベースに5機製造する。コンポーネントや機器は既存のものを再利用するが、コックピットや貨物室などは新規開発となる。
2015年9月に外寸や最大離陸重量など、仕様策定が終了。同年12月に製造を開始し、スペインで最初の「メタルカット」が行われた。
機体の大きさは、全長63.1メートル、高さ18.9メートル、胴体直径8.8メートル、翼幅60.3メートル、翼面積361.6平方メートル。重量は最大離陸重量が227トン、最大着陸重量が187トン、最大無燃料重量は178トンとなる。
エンジンは、A300をベースとする現在のベルーガでは米GE製CF6だったが、英ロールス・ロイス製トレント700を選定。航続距離は最大ペイロード(有償搭載量)53トンで2200海里(約4074キロ)とした。
最終組立を開始した初号機は、2019年半ばに就航する予定。
ベルーガXLは、現行のベルーガより輸送力を30%向上させ、A350の主翼を2つ同時に運べるようにする。機体断面は1メートル広くなり、ペイロードも12%増える。既存のベルーガは新型機と順次入れ替え、2025年までに全機が退役する見通し。
A350は11月末現在、810機受注。このうち標準型のA350-900が599機でもっとも多く、長胴型のA350-1000が195機、開発中止となる短胴型のA350-800が16機となっている。
量産初号機となるカタール航空(QTR/QR)向けのA350-900(登録番号A7-ALA)は、2014年10月2日にロールアウトし、同月16日に初飛行。同年12月22日にカタール航空へ引き渡した。11月末までにA350-900が49機引き渡されている。今年11月24日に飛行試験初号機(F-WMIL)が初飛行したA350-1000は、2017年後半の商業飛行開始を目指す。
日本の航空会社では、日本航空(JAL/JL、9201)が31機のA350を2013年10月7日に確定発注。A350-900が18機、A350-1000が13機で、このほかにオプションで25機を購入する。2019年にA350-900の初号機が就航する予定で、現在保有するボーイング777型機を6年程度で置き換える。
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