全日本空輸(ANA/NH)のエアバスA321ceo(A321従来型)の初号機(登録番号JA111A)が10月31日午前0時すぎ、羽田空港に到着した。11月から国内線に就航する。
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A321ceoは、新型エンジンを採用したA321neo(ニュー・エンジン・オプションの略)の開発に伴い、エアバスが従来型を名称変更したもの。A320ファミリーで標準型となるA320と比べ、胴体が約20%長い44.5メートルとなる。
今回到着したA321ceoは、2015年4月2日にANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が発注した機体。燃料消費を改善する翼端の「シャークレット」を装備する。2017年3月までに初号機を含む全4機を受領し、国内線に投入していく。シャークレット付きA321の導入は、国内で初めて。
座席数は2クラス194席で、プレミアムクラス8席と普通席186席。シートはともにレカロ製で、プレミアムクラスは国内線機材では初の電動シートを採用した。ブルーのLEDが光る手荷物収納棚に示されたシート番号は、点字も併記している。
また、全席に充電用USB端子を設け、プレミアムクラスには電源コンセントも設置した。ANAの国内線用機材として初めて、受領時からWi-Fi機器による機内インターネット接続サービス「ANA Wi-Fiサービス」に対応している。
客室後部は向かって左側をギャレー(厨房設備)、右側を2つのラバトリー(化粧室)とし、シートを多く設置できるようにした。エアバスが「スペース・フレックス」と名付けている客室レイアウトで、国内初導入となった。
ANAがA321を運航するのは、今回が2回目。1998年4月から2008年2月まで、最多で7機のA321(シャークレットなし)を国内線で運航しており、8年ぶりの就航となる。座席数は191席(スーパーシート8席、普通席183席)の2クラス構成で、国内線仕様のA320(1クラス166席)よりも25席多かった。
今回受領が始まったA321ceoのエンジンはCFM製CFM56-5B3/3で、推力は3万3000ポンド(1万4970キロ)。以前運航していたA321は、IAE製V2500を搭載していたがA320と同じ、CFM56に統一された。
羽田に到着した初号機は、10月12日に製造され、27日に独ハンブルクで引き渡された。機体を空輸するフェリーフライトの便名はNH9400便で、ハンブルクを29日午前10時8分に出発してモスクワとノボシビルスク、ソウル(仁川)を経由し、31日午前0時に羽田のC滑走路(RWY34R)に着陸。203番スポットに午前0時9分に到着した。駐機場では、横断幕を手にした社員が8年ぶりに就航するA321を出迎えた。
ANAHDでは4機のA321ceoのほか、新型エンジンを搭載するA321neoを26機、A320neoを7機発注済み。エンジンはいずれも米プラット・アンド・ホイットニー製PW1100G-JMを選定した。A320neoは2016年度から2018年度に、A321neoは2017年度から2023年度に受領する。
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写真特集・ANA A321ceo国内線仕様
前編 電動シートのプレミアムクラス(16年11月17日)
後編 初号機はハンブルク製(16年11月18日)
A321neo初便
・ANAのA321ceo初便、宮崎から帰着 国内線初の電動シート(16年11月12日)
・ANA、A321ceo初号機就航 羽田から宮崎へ(16年11月12日)
ANAのA321neo
・ANA、A321neoなど7機正式発注(15年4月2日)
・ANA、787-10やA321neoなど15機発注へ(15年1月30日)
・ANA、777-9XとA321neoなど70機正式発注 16年度から受領(14年7月31日)
・ANA国内線Wi-Fiサービス、一足先に使ってみた(16年1月25日)