エアライン, 官公庁, 解説・コラム — 2016年10月25日 18:40 JST

ANA、国交省に「立ち乗り」再発防止策提出 空港係員を増員

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 全日本空輸(ANA/NH)は10月25日、福岡空港で9月30日に起きた搭乗手続きが済んでいない乗客が搭乗し、一時「立ち乗り」になったトラブルについて、再発防止策を国土交通省航空局(JCAB)に提出した。10月11日に国交省がANAを厳重注意したことによるもので、空港の地上係員を増員し、確認体制を強化するなど、7つの再発防止策を報告した。

搭乗券二度かざしと誤判断

国交省に再発防止策を提出したANA=16年8月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 トラブルは9月30日午後2時20分ごろ、ANAの福岡発羽田行きNH256便(ボーイング777-200ER型機、登録番号JA742A)で発生。満席だった同便に、搭乗手続きが済んでいない乗客が搭乗し、一時的にその乗客が「立ち乗り」状態となった。同便は駐機場へ引き返し、約50分遅れで再出発した。

 搭乗手続きを終えずに搭乗した乗客は、男性の親子連れ2人のうち、40歳代の父親。保安検査場で父親が先に、息子が後からほぼ同時刻に通過したところ、同一搭乗券での通過を示すエラーが発生し、ANAの地上係員を呼び出す旨の用紙が出力された。

 親子は空港での手続きなしで搭乗できる「スキップサービス」を利用。それぞれのスマートフォンにQRコード付きの搭乗券を保存した際、息子が父親の搭乗券を誤って保存した。父親は自身の搭乗券を保存していたため、同じ搭乗券が2台のスマートフォンに保存された状態になった。

 保安検査場の係員はエラーが発生した際、搭乗手続き済みの搭乗券を二度かざしたと誤判断。保安検査をそのまま実施し、息子を通過させた。

 その後、搭乗ゲートでは息子が先に、父親が後から通過しようとしたところ、父親の搭乗券を持つ息子は通過できたが、後から搭乗券をかざした父親本人には「座席重複エラー」が発生。地上係員は「携帯端末の二度かざし」と誤判断し、本人確認後に機内へ案内した。

 一方、NH256便には空席待ちが発生。保安検査を未通過扱いだった息子の席は「空席」となり、空席待ちをしていた利用客に割り振られた。割り振られた利用客と親子は、それぞれ機内に乗り込み、空席待ち客は元・息子の席に、息子は父親の席に座り、父親は離れた場所で手荷物を収納していた。

 同便は、父親が立ったままの状態で出発。気づいた客室乗務員が声を掛けたところ、父親の席がないことが発覚し、駐機場へ引き返した。

地上係員を増員

 ANAは国交省に対し、保安検査場と搭乗口での手順や体制の変更、機内の着席確認などの再発防止策を提出。保安検査場では、すでにレイアウトの見直しと二次元バーコードなどをかざす端末にカバーを付ける対策を実施した。

 レイアウトの見直しは、搭乗手続完了の確認と金属探知機の通過を確実に実施するため、検査前の待機スペースを設けた。端末のカバー新設は、検査場の係員が乗客に背を向ける際は端末をカバーで覆い、搭乗券の二次元バーコードなどをかざせないようにした。係員が見ていない間に、乗客が搭乗券をかざしてしまうトラブルを防ぐ。

 搭乗口では、地上係員の増員を実施済み。12月1日からは、搭乗口を通過する際に「搭乗案内用紙」を係員が乗客1人に1枚ずつ手渡しする。すでに10月21日からは、羽田空港などの一部便で試験的に用紙の手渡しを実施している。

 11月1日からは、機内で客室乗務員が乗客の着席状態を確認後、飛行機をトーイングカー(牽引車)でプッシュバック(押し出し)させ、出発させる。

 ANAでは、全国の主要空港や地区で、経営層とグループ社員との直接対話による安全啓発活動を11月末までに実施。再発を防止する。

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全日本空輸
国土交通省
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