ジェイティービー(JTB)と日本通運(9062)、三越伊勢丹ホールディングス(3099)の3社は10月17日、訪日客の獲得やビジネスを展開する合弁会社を設立すると発表した。コミュニケーションサイトを運営し、訪日客拡大を目指す。新会社には3社が出資し、日本航空(JAL/JL、9201)が業務提携する。
新会社「Fun Japan Communications(ファン ジャパン コミュニケーションズ、FJC)」はJTBが50%、日通が40%、三越伊勢丹HDが10%を出資。社長にはJTB出身の藤井大輔氏が就任する。Webメディア『Fun! Japan』の運営を軸に、インターネット広告や市場調査事業を展開する。営業開始は10月18日。
Fun! Japanは現在、日通が運営している。合弁会社の設立により、事業の拡大とマーケティング強化を図る。現在はインドネシアとタイ、マレーシア、台湾の4カ国・地域向けに展開。会員数は33万人で、今後、成長が見込めるフィリピンやベトナムなど、東南アジア各国へも拡大する。
Fun! Japanは日本を紹介するオリジナルの記事を、英語で配信している。Facebookで展開するユーザーとのコミュニケーションは、現地語でやりとりしている。
訪日前と日本旅行中、自国に帰国後もコミュニケーションを図ることで、東京や京都などの「ゴールデンルート」のほか、地方への誘客も見込む。
新会社では、「人流」「商流」「物流」「情報流」の4つを展開。JTBとJALが展開する、訪日ツアーや日本国内での観光を促進する「人流」、三越伊勢丹HDが展開する、国内店舗や現地店舗で販売する「商流」、日通が展開する、日本からの商品輸送や空港・ホテル間の手荷物配送を行う「物流」、Fun! Japanで商品やサービスを紹介し、デジタルクーポンを提供する「情報流」を展開することで、それぞれが異業種で補完し合う体制を構築する。
JTBの髙橋広行社長は最大出資となった理由について、「訪日がテーマなので、(旅行会社であるJTBが)最大出資とさせてもらった」と説明。現在は訪日旅客は個人旅行化が進み、8割が個人旅行という現状を踏まえ、「アジアの個人旅行者との接点をどのように持つかが課題だった。訪日客の流れをゴールデンルートから地方に派生させることができる」と述べた。
日通の渡邉健二社長はアジア各国について、「経済発展で所得水準が向上するにつれ、日本製品の購買意欲が伸びる」とし、「多くの企業に活用してもらって、日本ブランドをアピールしてもらいたい」と話した。
三越伊勢丹HDの大西洋社長は「日本のいいものを紹介できる大きなプラットフォーム。海外の利用客にとってとても有意義」と話した。
出資する3社とは異なり、業務提携での参加となったJALの路線統括本部商品・サービス企画本部長、加藤淳執行役員は今後の出資予定について、「現時点では計画はない」とした上で「長いスパンで考えたい」と述べ、今後の出資に含みを持たせた。
関連リンク
Fun! Japan(インドネシア版)
JTB
日本通運
三越伊勢丹ホールディングス
日本航空