2017年6月にバンクーバー-中部(セントレア)線を開設するエア・カナダ(ACA/AC)のカリン・ロヴィネスク社長兼CEO(最高経営責任者)が来日し、就航の狙いなどを報道各社に語った。
IFEなし、ストリーミング対応
バンクーバー-中部線は、系列の航空会社で観光路線を主体とするエア・カナダ ルージュ(ROU/RV)が、ボーイング767-300ER型機で運航する。
座席数は280席で、プレミアムクラス「プレミアム・ルージュ」が24席、エコノミークラス「ルージュ」が256席。座席配列はプレミアムが2-2-2、エコノミーは2-3-2となっている。
各席に機内エンターテインメントシステム(IFE)は設けず、機内でストリーミング配信される動画や音楽を、ノートパソコンやスマートフォン、タブレット端末などに事前にインストールした専用アプリケーションで再生して楽しむ。
バンクーバー発中部行きAC1955便は現地時間6月1日から、折り返しの中部発バンクーバー行きAC1956便は日本時間6月2日から運航する。
運航スケジュールは、AC1955便が月曜と火曜、木曜、土曜の運航で、バンクーバーを午後0時45分に出発して翌日午後3時15分に中部へ到着。AC1956便は火曜と水曜、金曜、日曜に運航し、中部を午後4時45分に出発して午前10時にバンクーバーへ到着する。
ロヴィネスク社長によると、カナダから名古屋へはカナディアン航空(エア・カナダが吸収合併)が、県営名古屋空港(小牧)へ11年前まで乗り入れていたという。
乗り継ぎ需要重視
ルージュによる日本路線は、中部で2路線目。ロヴィネスク社長は、ルージュで運航する点について、「ルージュは7月で就航から3年経ったが、エア・カナダ本体よりも1席あたりの運航コストが30%低い。エア・カナダでは就航が難しい都市へ就航できる」と、運航コストの低さにより実現できたという。
ロヴィネスク社長は「エア・カナダの機材は300機あり、このうち50機がルージュ。観光路線は高い客単価が見込めないが、ルージュであれば就航できる。ホテルチェーンのブランドと同じだ」と説明。成田や羽田のようにビジネス需要と観光需要双方が見込める路線はエア・カナダ、観光のみの関西や中部はルージュと、住み分けを明確にしている。
また、中部への就航の狙いについては、「名古屋から就航している北米の都市はデトロイトしかない。バンクーバーから西海岸への接続需要が取れるのではないか」と話した。エア・カナダは人口が多くないカナダの特性を考慮し、乗り継ぎ需要を重視して世界の航空会社のベストテン入りを目指すという。
カナダから米国へ入国する際、入国審査をカナダで済ますことができ、同日乗継の場合は荷物の受け取りやカナダへの入国が不要だ。
「われわれはカナダの航空会社というより、北米の航空会社と認識していただきたい」とロヴィネスク社長は述べ、日本からカナダ経由による北米各都市をはじめ、キューバやブラジルなど中南米への乗り継ぎ需要に期待を寄せた。
関連リンク
エア・カナダ
Air Canada rouge
・エア・カナダ、中部-バンクーバー就航へ 17年6月から(16年9月29日)
・エア・カナダ ルージュ、関西-バンクーバー就航(15年5月2日)
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