4月に設立された地域航空会社リンクは10月9日、ATRのターボプロップ機ATR 72-600型機(68席から74席)を3機導入すると発表した。全機がリース契約機で、デリバリー開始は2013年末を予定している。ATRの旅客機が日本の航空会社に導入されるのは初めて。13年度中の就航を目指すとともに、株式上場も計画している。(就航路線はこちら)
リンクは福岡空港などを念頭に、九州発着の地域航空会社として13年度中の就航を目指す。10月にスターフライヤー(SFJ、9206)と航空運送事業の立ち上げ支援について基本合意を締結。SFJの支援の下、九州内や四国、中国、関西方面の国内線や、近距離国際線の就航を検討していく。
現在都内にある所在地は福岡市内への移転を計画。資本も9月末時点での4億6000万円から、年内に10億円程度に増やす。経営目標として、運航初年度からの営業黒字化、就航2年目に営業利益5億円以上と株式上場、就航3年面での営業利益7億円以上と株主配当実施を掲げている。
名古屋市内で行われている「2012年国際航空宇宙展」(ジャパン エアロスペース2012/JA2012、主催:一般社団法人 日本航空宇宙工業会)で会見したリンクの杉山幸一社長は、「安全運航と地方空港の活性化、ATR機導入による価格競争力、この3点を基本方針として進めていきたい」と述べた。また、シートピッチを広めにし、快適性を売りにする考えを示した。
業務支援を行うSFJの米原愼一社長は、就航時期について「パイロットや整備士など人的な準備もあるので、1年後がちょうど良いタイミングになるのではないか」と、13年秋ごろ就航との見方を示した。
ATR 72を選定した理由について杉山社長は、「ATRはボンバルディアなどのリージョナルジェット機(RJ)と比べて巡航速度は遅いが、われわれの路線では5分程度の差」として、重量もRJより2割から3割ほど軽いATR 72を選択したという。
来日したATRのフィリッポ・バグナート最高経営責任者(CEO)は、「離島路線などにふさわしいと考えている。ATR機はアジア太平洋地域を中心に50社以上の航空会社が250機以上運航している」と実績を強調。「オーストラリアでの成功を日本でも繰り返せると考えている」と、日本での販売拡大に自信を示した。
ATR 72-600の満員時の航続距離は900海里(1665km)。エンジンはプラットアンドホイットニー・カナダ製PW127Mで、最大離陸重量は2万3000kg、最大積載量は7500kg。
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