三菱航空機は8月30日、開発中のリージョナルジェット機「MRJ」の飛行試験初号機(登録番号JA21MJ)が、米国へのフェリーフライト(空輸)を2日連続で断念した原因について、空調システムの左舷用監視装置の不具合だったと発表した。
MRJは、当初予定していた22日から二度の延期で、27日昼に県営名古屋(小牧)空港を出発。新千歳空港で給油後、ロシアのカムチャツカ半島、米国のアラスカを経て、米国の飛行試験拠点となるモーゼスレイクのグラントカウンティ国際空港へ向かう予定だった。
ところが、空調システムを監視する装置のセンサーが異常を検知したため、出発から約1時間後に小牧へ引き返した。翌28日昼に再度出発して新千歳へ向かったが、再び前日と同じようなトラブルが起きたことから秋田上空で引き返し、改めて原因を究明することになった。
三菱航空機によると、問題が起きたのは左右2系統ある空調システムのうち、左舷用の監視装置。空調システム自体は正常に作動していたという。27日のトラブルを受けて監視装置を構成するコンピューターの一部を交換し、地上試験では問題は発生しなかったが、28日の飛行中にトラブルが再び起きた。
MRJの空調システムは他の旅客機と同様、客室や電子機器の温度管理や換気を担うほか、客室内の気圧を地上と同程度の保つ「与圧」も行っている。
三菱航空機はフェリーフライトの予定について、故障箇所の原因究明と対策後、寄港先などと調整の上、早期に実施するとしている。
同社では、5機ある飛行試験機のうち、4機を年内に米国へ持ち込む予定。国内で飛行試験を実施する5号機と合わせて2018年ごろまで飛行試験を続け、2018年前半には機体の安全性を証明する、国土交通省航空局(JCAB)による型式証明を取得する。量産初号機を全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(9202)へ引き渡すのは、2018年中ごろを計画している。
これまで実施された機体改修の進捗状況から総合すると、今回の改修も1カ月近くかかる可能性がある。飛行試験を計画通り進められない場合、納入時期を改めて見直すことにつながりかねないため、慎重な対応を迫られている。
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