日本の航空会社が確定発注したボーイング787-8型機のうち、最後の受領となった日本航空(JAL/JL、9201)の機体(登録番号JA845J)が7月1日夕方、成田空港へ到着した。
JALが発注済みの787は、標準型の787-8が25機、長胴型の787-9が20機の計45機。到着した機体はJALの787としては29機目で、787-8の25号機となった。2012年3月25日に787-8の初号機(JA825J)を受領以来、4年3カ月で発注分がすべて揃った。初号機到着時はまだ再上場前だった。
そして、ローンチカスタマーの全日本空輸(ANA/NH)も、2011年9月25日に最初の機体(JA801A)を受領後4年7カ月をかけ、発注済みの787-8では最後の機体(JA878A)が、5月14日に羽田へ到着している。
現在は787-8、787-9、超長胴型の787-10と3機種ある787。787-8の特徴は、航続距離が長いものの、座席数が多すぎない点だ。今回発注済みの787-8がすべて揃ったJALは、787全機を国際線に投入している。そして、787-9は7月末時点で受領済みが4機で、当面787の引き渡しは続いていく。
787-8がすべて揃い、一区切りがついたJALの787導入。2012年の就航前から787を飛ばす路線の計画作りに携わっている、路線統括本部路線計画部国際路線計画グループの牧野圭亮アシスタントマネジャーに、就航から現在までの変化を聞いた。
—記事の概要—
・ボストン就航「本当に間に合うのか」
・787就航時「スカイスイート777もなかった」
・待望のスカイスイート787
・同一仕様787-9で需給適合
ボストン就航「本当に間に合うのか」
JALは2004年12月22日、787の導入を決定。当初の予定では2008年度の投入を計画していたが約4年遅れ、2012年の就航となった。その間の2010年1月19日、JALは経営破綻している。
2012年3月27日午後6時14分、JALの787-8初号機(JA825J)が成田空港へ到着した。植木義晴社長をはじめ、機体から降りてくる社員の中に、牧野さんの姿があった。
「787の購入決定はだいぶ前でしたが、この飛行機でJALは再生していくんだ、という思いを強く感じました」と、牧野さんは成田に降り立った当時を振り返る。
成田で真新しい機体を出迎えた、多くの社員の姿が印象的だったという。「みんな目を輝かせていました。新しい飛行機ということもあったでしょうが、二次破綻が懸念され、会社が今後どうなるのかという中で、なんとか再生させなければならないという雰囲気でした」と話す。
そして、経営破たん後初の新規路線にして、初の787投入路線となった成田-ボストン線が、2012年4月22日に開設された。乗客181人と乗員13人を乗せた初便のボストン行きJL008便(JA822J)は、午前11時46分に成田を出発した。
新型機材を投入する場合、短距離路線で飛ばしてから、徐々に長距離路線へ投入していくのが一般的。しかし、787が就航した当時、JALにはそうした余力はなかった。
機材繰りなどを担当してきた牧野さんが、現在の部署に就いたのは2011年。ボストン線就航に向けた準備は、最終仕上げの段階に入っていた。「もともとボストンから導入する計画ではなく、何号機目かを受領してからというものでした」と、いきなり長距離路線で飛ばす計画ではなかったと明かす。
「本当に間に合うのか、というレベルでした。バッファーとなる期間は設けていましたが、パイロットや客室乗務員の訓練時間なども調整して間に合わせました」と、就航までのスケジュールはかなりタイトだったと振り返る。
ボストン線の就航計画を進めていた当時は、大西賢会長が社長を務めていた。「航空券の販売も始まり、787を就航させる日は守らなければなりません。大西会長以下、JAL再生の象徴となる路線として、なんとか成功させるという気持ちで社員は動いていました」と牧野さんは話す。
現在のボストン線は、787-8(3クラス161席)より座席数の多い787-9(同195席)も投入するまでに成長した。
787就航時「スカイスイート777もなかった」
では、787の導入はどういったメリットがあったのだろうか。
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