エアバス, エアライン, 機体, 解説・コラム — 2016年7月14日 13:00 JST

エアバス、A380減産へ 18年から月産1機、損益分岐点は到達

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 エアバスは現地時間7月12日、総2階建ての超大型機A380を減産すると発表した。現在の月産3機を2018年からは月産1機に落とし、製造ラインを維持する。

ファンボロー航空ショーで展示飛行するA380=16年7月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 A380は現在、18社から319機受注。このうち半数近い142機をエミレーツ航空(UAE/EK)が発注している。6月末までに引き渡された機体は193機で、このうち約4割の81機がエミレーツの発注分となる。

 2015年の引き渡しは、エミレーツへ15機、エティハド航空(ETD/EY)へ4機、ルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)とブリティッシュ・エアウェイズ(BAW/BA)、アシアナ航空(AAR/OZ)、カタール航空(QTR/QR)の4社へ2機ずつの計27機。一方、受注は12月16日のANAホールディングス(9202)による3機にとどまった。

 今年4-6月期の引き渡し実績は、4月と5月はエミレーツへ2機ずつ、エティハド航空へ1機ずつ、6月はエミレーツへ2機、ブリティッシュ・エアへ1機だった。一方、受注は4月13日に発表したエミレーツからの2機のみで、スカイマーク(SKY/BC)がキャンセルした6機のうち、ほぼ完成していた2機とみられている。

 エアバスでは1月12日に2015年の納入実績を発表した際、機体として損益分岐点を越えたとしているが、仮に現在の受注残126機を毎年27機ずつ引き渡した場合、約4年半で完納してしまう。すでに18社のうち、ルフトハンザやブリティッシュ・エア、大韓航空(KAL/KE)、タイ国際航空(THA/TG)、マレーシア航空(MAS/MH)、中国南方航空(CSN/CZ)の6社へは引き渡しを終えている。

 一方、大型案件として今年1月、国営のイラン航空(IRA/IR)が12機発注することで同意したが、米国の政治的圧力などが影響し、現時点で確定発注には至っていない。

 また、初飛行した2005年4月27日から10年以上経過したことから、A320やA330と同様に燃費効率を向上した新型エンジンを採用する「A380neo」がたびたび噂されるものの、開発を求める意向を示しているのがエミレーツ1社にとどまっていることから、実現の見通しは不透明だ。

 ANAホールディングスへの初号機引き渡しは、2019年春を予定。傘下の全日本空輸(ANA/NH)が、首都圏を発着するホノルル路線に投入する。一方、6月28日に開催されたANAホールディングスでの株主総会では、発注が3機と少ないことなどから、導入効果を疑問視する指摘が相次いだ。

 航空会社がエアバスへ発注する大型機はこのところ、双発機のA350-1000(標準座席数3クラス366席)が選定されることが多い。11日に開幕したファンボロー航空ショーでも、ヴァージン アトランティック航空(VIR/VS)が12機発注。同社はA380も6機発注しているが、現時点で1機も受領しておらず、今後どのように扱うかが注目される。

関連リンク
Airbus
エアバス・ジャパン

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納入・受注実績
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