全日本空輸(ANA/NH)は6月16日、NPO法人日本ブラインドサッカー協会(JBFA)とパートナーシップ契約を締結した。契約期間は2018年3月31日までの約2年間で、オフィシャルエアラインとして国内外への遠征時の航空券提供や、資金面の支援などを実施する。
音が鳴るボール
ブラインドサッカーは、フットサル(5人制サッカー)を基にした視覚障がい者競技。ピッチの広さは40メートル×20メートルで、転がると音が鳴るサッカーボールを使用する。
選手は障がいの度合いを公平にするため、アイマスクを着用。ボールを持った相手に向かう際は、スペイン語で「行く」を意味する「ボイ」と声を出す。
キーパーは目が見える人や弱視の人が担当し、ゴールポスト裏にはゴールの位置と距離、角度を選手に伝えるガイドが立つ。
見えないことがコミュニケーション遮断
ANAの篠辺修社長は、「ユニバーサルデザインや心のバリアフリーに取り組んでおり、オフィシャルエアラインとしての支援を通じ、飛行機や空港を利用した際に、選手からいろいろな意見をいただけると思う」と述べ、選手の意見を障がい者が利用しやすいサービスへの改善につなげていく考えを示した。
また、JBFAが実施しているブラインドサッカー体験型研修プログラム「OFF TIME Biz」を社内研修に取り入れる。「JBFAとともに共生社会に少しでも役立ちたい」(篠辺社長)と語り、グループとしてダイバーシティ(多様性)を重視していくと述べた。
JBFAの釜本美佐子代表理事は、「支援は大変ありがたい。(東京でパラリンピックが開催される)2020年、さらには2024年に向けて頑張っていきたい」と抱負を述べた。
元サッカー日本代表で日本障がい者サッカー連盟(JIFF)の北澤豪会長は、「人それぞれにポジション、役割がある。共生社会が出来ることで、選手はより強いブラインドサッカーが出来る」と期待を寄せた。
会見が開かれた東京・羽田にあるANAの格納庫には、ブラインドサッカー日本代表の川村怜選手(Avanzareつくば)が招かれ、シュートを披露。アイマスクを着用した篠辺社長が川村選手とブラインドサッカーを体験した。
篠辺社長は、「歩くのが恐かった。見えないことがあらゆるコミュニケーションを遮断しており、音が非常に重要だと実感した」と感想を語った。
パスを受けた川村選手は、「非常にセンスがあり、愛のあるパスだった」と話した。
関連リンク
全日本空輸
日本ブラインドサッカー協会
日本障がい者サッカー連盟
Avanzareつくば
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