ボーイングは現地時間5月20日、ワシントン州エバレットで建設を進めてきた次世代大型機777Xの複合材主翼の製造施設「コンポジット・ウイング・センター(CWC、複合材主翼センター)」が竣工したと発表した。
CWCはエバレットの最終組立工場北側に建設。広さは約9万3000平方メートルで、10億ドル(約1068億7000万円)以上の建設費用を投資した。世界最大の炭素繊維複合材による主翼を製造し、同州ピュージェット・サウンド地域で数千人規模の雇用を創出する。
着工は2014年10月で、建設には420万時間を要し、ピーク時には1700人が建設に従事した。広さはサッカーコート24面分に相当し、複合材を積層した後に高温高圧で焼き固めるオートクレーブ(複合材硬化炉)が3基設置された。オートクレーブは、737型機2機分の胴体が収まる世界最大のものになる。
777Xは777の後継機で、777-8Xと777-9Xの2機種で構成。3クラスの標準座席数は777-8Xが350から375席、777-9Xが400から425席、航続距離は777-8Xが8700海里(1万6110キロメートル)、777-9Xは7600海里(1万4075キロメートル)を計画している。エンジンは米GE製GE9Xを2基搭載する。
ボーイングでは、777-8XはエアバスA350-1000型機と競合し、777-9Xには直接競合する機体はないとしている。
777-9Xの製造開始は2017年、初号機の引き渡しは2020年を予定。現在までに世界の6顧客から320機受注しており、日本の航空会社では全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(9202)が、777-9Xを777-300ERの後継機として20機を2014年7月に正式発注した。
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ボーイング・ジャパン
777X
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