全日本空輸(ANA/NH)は4月21日、羽田空港国内線第2ターミナルで、樹脂製車いすの導入を開始した。空港到着時から機内まで使用でき、保安検査をそのまま通過できる。現在使用している金属製のものは、樹脂製に順次置き換える。
すぺてのパーツに樹脂
導入するのは樹脂製車いす「morph(モルフ)」で、ANAと車いす製造メーカーの松永製作所(岐阜・養老町)が共同開発した。車輪や軸など、シートクッションとベルトを除くすべてのパーツに樹脂を使用した。重さは26キロで、金属製のものと比較すると5キロ増加した。
第2ターミナル2階中央エリアに設置した「Special Assistanceカウンター」で提供する。チェックイン後はカウンター奥の保安検査場に向かう。樹脂を使用しているため、保安検査をそのまま通過できる。車輪を外すことにより、機内の通路を通ることができる。ボンバルディアQ400型機(DHC-8-Q400)など、ターボプロップ機は通ることができない。
当初、羽田空港に64台を導入する。その後、500台近くを全国展開する。
ANAはSpecial Assistanceカウンターで、タブレット端末を使用した手話通訳サービスを開始。空港内では手荷物預かり所や自動チェックイン機などの案内表示に大きめのピクトグラム(絵文字)を導入し、公平なサービスを目指す「ユニバーサルサービス」を提供する。
利用者「飛行機での外出増えそう」
金属製の車いすで保安検査を通過した場合、金属が反応。乗客が金属製品を所持していない場合でも、保安検査場の係員による接触検査が必要となる。接触検査には1分程度かかる。
普段から車いすを利用する搭乗客は、これまでは出発の1時間から2時間前には空港に到着する必要があったため、飛行機移動がおっくうだった話す。今後は保安検査場をそのまま通過できるため、「飛行機で外出する機会が増えそうだ」と話した。
また、乗り心地については、クッションが異なるため常用しているもののほうがいいとした上で、「空港カウンターから機内までしか使用しないので、気にならない」と話した。
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