(前編からのつづき)。日本に2機しかない、ほぼ全席をビジネスクラスにしたボーイング737-700ER型機「ANA BusinessJet(ANAビジネスジェット)」が3月27日、ひっそりと退役した。
2007年3月の就航から9年で退役。最後まで運航していた成田-ムンバイ線(NH829/830便)の機材を、ボーイング787-8型機(169席:ビジネス46席、プレミアムエコノミー21席、エコノミー102席)へ大型化したためで、成田発・ムンバイ発とも26日が最終便となった。
—後編記事の概要—
・冬場は福岡経由でムンバイへ
・不具合を起こさないでくれ。頼むぞ!
・ビックリするほど大きな積乱雲
・“元祖”窓付き化粧室
・記事内の写真70枚
—前編記事の概要—
・2号機は全席ビジネス
・浮き上がると大差ない
冬場は福岡経由でムンバイへ
ANAビジネスジェットとして就航した737-700ERは、冬場は成田空港からムンバイへ向かう途中、偏西風の影響のため、燃料を給油する「テクニカルランディング(テクラン)」を実施する。2015年度は12月1日から2月29日までで、福岡空港で給油後にムンバイへ飛び立つ。
就航当初は長崎空港でテクランが行われていたが、フライト時に障害となる物件がなくなったことで、設備が充実している福岡を使用するようになった。当時737-700ERを運航していたのは、旧エアーニッポン(ANK)のクルー。運航本部フライトオペレーションセンターのB737部班長、得津伸一郎機長もANK出身で、長崎と福岡の違いをこう話す。
「福岡は整備体制が整っており、パーツの在庫も抱負です。何かあった時に整備にかかれる人数が多いだけではなく、パーツを届けてもらう場合も定期便が多いのは良かったですね」。ANAの羽田-長崎線は現在1日8往復(うち4往復がソラシドエアのコードシェア便)で、福岡線は1日26往復(うち8往復がスターフライヤーのコードシェア便)と長崎線と比べて便数が約3倍で、737を整備できる羽田から何かを運ぶにしても利便性が高い。
もう一つは空港内のロビーだという。「お客様にとっては日本最後の滞在です。ロビーも福岡の方が広いですからね」と、乗客にとっても福岡の方が快適に過ごせる。
737-700ERの航続距離は通常の737-700と比べて約2倍。冬場の3カ月間を除くと、成田からムンバイまで直行便で飛べる機体だった。
不具合を起こさないでくれ。頼むぞ!
機体の操縦特性については、得津機長は「浮き上がると操縦していて大差はなかったですね」と、通常の737-700との違いは離陸して上昇し終えるまでだったと話す(前編参照)。
テクランがなければ成田からムンバイまでは約11時間のフライト。出発前、機体を点検していると「これからよろしく! 不具合を起こさないでくれ。頼むぞ!」と、自然と機体に声を掛けていたという。
これといった不具合もなく、2機で好不調の差もない737-700ER。長時間のフライトになるため、無事ムンバイまで飛んで欲しいという気持ちで一杯だった。
一方で、パイロットは常に緊急時の対応を念頭に飛ばなければならない。737-700ERには、燃料を
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