日本航空(JAL/JL、9201)は3月12日、Facebook(フェイスブック)に開設している同社ページのファン向けイベントを、グループの日本トランスオーシャン航空(JTA/NU)とともに那覇空港で開催した。
さくらジンベエの前で三線に合わせてカチャーシーを踊る参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JALによると、イベントには約700人が応募。10代から50代までの男女22人が抽選で選ばれて参加し、このうち13人が沖縄県在住の人だった。
Facebookによる情報発信をJALが開始したのは、2010年1月19日の経営破綻後から約1年後の2011年4月5日。この月から鶴丸を復活させたJALは、より利用者と近い関係を築く方法のひとつとして、双方向コミュニケーションを始めた。3月12日現在、132万人以上が「いいね!」をクリックしている。
航空会社によるファン向けイベントは、機内や格納庫といった普段は立ち入れない場所で開催することが特色。JALも当初は羽田空港で開いていたが、地方開催を望む声が寄せられていた。これに応える形で2015年11月1日、羽田以外では初のイベントが大阪の伊丹空港で開かれた。今回は地方開催第2弾として、沖縄が選ばれた。
—記事の概要—
・ライフベスト着用で緊急脱出
・サプライズは「さくらジンベエ」
・グラハンスタッフが三線披露
・写真47枚
ライフベスト着用で緊急脱出
イベントはJALのFacebookページ運営チームと、JTAの社員が準備。会場となったJTAの格納庫前では、グランドハンドリング(グラハン、地上支援業務)スタッフが、飛行機を誘導時に使用するマーシャリングのパドルで参加者の乗ったバスを誘導。パイロットや客室乗務員らが出迎えた。
JTAの客室乗務員の指示でモックアップの非常口から脱出する参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
前回の伊丹でのイベントと同様、今回も少人数開催としたことについて、運営チームを率いるJALのコーポレートブランド推進部の松倉弘明さんは「200人、300人が参加できるイベントではなく、この規模で徹底的に楽しんでもらえるものにしたかった」と説明。社員と参加者の距離が近い内容を目指した。
最初のプログラムは、客室乗務員が緊急脱出訓練などを行う客室モックアップで開かれた。参加者はモックアップに入る前に、沖縄方言によるラジオ体操を教官や客室乗務員とともに行い、体をほぐしてから“訓練”に挑んだ。
訓練のシナリオは、那覇空港へ着陸直前にバードストライクが発生。機体右側の第2エンジンが鳥を吸い込み、緊急着水する想定で進められた。JTAの新人客室乗務員2人が衝撃防御姿勢を大声で叫び、着水状態になってからは参加者全員がライフベスト(救命胴衣)を着用。前方左側ドアと中央左側窓に2つある非常口を使って脱出した。
2人の客室乗務員は、ライフベストは機外で膨らますこと、着用が済んだ人はまだの人を手伝うこと、機体右側エンジンから炎が見えるため、右側ドアは絶対に開けないことなどを叫び続け、水蒸気で作り出した煙とともに、緊張感ある訓練が行われた。
モックアップから脱出後は、参加者全員がライフベストを実際に膨らまし、緊急脱出時にどういった状態になるかを体験。参加者は、ライフベストが膨らんだ状態で記念写真を撮っていた。
サプライズは「さくらジンベエ」
今回のイベントでは、JTAと沖縄美ら海水族館とのコラボレーション企画で、機体にジンベエザメを描いた特別塗装機「ジンベエジェット」2機のうち、2号機の「さくらジンベエ」(ボーイング737-400型機、登録番号JA8992)をサプライズで用意。参加者が格納庫に入る際には、全員の名前が書かれたラジコンの小型飛行船が出迎え、目にした参加者からは歓声が上がった。
さくらジンベエと飛行船をバックに記念撮影するJALのFacebookイベント参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JTAによると、さくらジンベエは運航により塗装が痛んだ箇所があったため、イベント直前に整備士が一部を塗り直して参加者を迎えたという。
さくらジンベエの機内では、コックピット見学や機内アナウンス体験のほか、ジンベエジェット誕生にまつわる秘話がクイズ型式で披露された。
JALにはかつて、機体全体にディズニーの人気キャラクター「ミッキーマウス」を描いたボーイング747-400型機があった。この機体の塗装を担当したJALグループの整備会社JALエンジニアリングのスタッフがノウハウを生かし、ジンベエジェットの塗装が実現。2号機の色を決める際は、日本一早咲きのサクラである、やんばる(沖縄北部地域)の「カンヒザクラ」をモチーフにすることで、地域とのつながりを持たせたという。
ジンベエジェットの登場に合わせて、空港で機体を牽引する「トーイングカー」や、貨物コンテナを積んだドーリーを牽引する「トーイングトラクター」にも、就航する宮古空港のスタッフが同じデザインを導入。乗客に機体とセットで楽しんでもらう取り組みが、JTAが乗り入れるほかの空港にも広がったという。
そして、さくらジンベエのお披露目時に登場した同色の車両は、当日早朝に塗装が終わり、お披露目にはギリギリで間に合ったことが明かされた。
グラハンスタッフが三線披露
イベント閉会時には、那覇空港など沖縄県内でJALグループのグランドハンドリングを請け負う沖縄エアサービス(OAS)の大城昇太さんが三線(さんしん)を披露。参加者とともに歌を楽しみ、最後は参加者と社員全員が沖縄の踊り「カチャーシー」を楽しみ、幕を閉じた。
三線を披露するOASの大城さん=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
参加者はバスに乗り、格納庫からターミナルへ戻った。到着時と同様、パイロットや客室乗務員、整備士らイベントに携わった社員に見送られて出発した。
空港内を10分ほど掛けて走る車内では、大城さんが三線と歌で楽しませ、参加者たちは最後まで沖縄開催のイベントを満喫していた。
*写真は47枚。
JTAの格納庫でFacebookイベントの参加者を待つさくらジンベエ=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
社員と参加者の距離が近いイベントを目指したと話すJALの松倉さん=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
イベントに携わるJTAの社員=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
イベントの流れについて説明を受ける参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
説明会場に置かれた歓迎メッセージボード=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
イベントのしおりを参加者に手渡すJTAの客室乗務員=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
緊急脱出訓練前に沖縄方言のラジオ体操をする参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
モックアップ内でライフベストを着用して避難誘導するJTAの客室乗務員=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
モックアップ内でライフベストを着用して避難誘導するJTAの客室乗務員=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
モックアップ内で参加者のライフベスト着用を手伝うJTAの客室乗務員=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
モックアップ内でライフベストを着用して避難誘導するJTAの客室乗務員=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JTAの客室乗務員とともにモックアップの非常口を開ける参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JTAの客室乗務員の指示でモックアップの非常口から脱出する参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
モックアップの非常口から脱出する参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
モックアップの非常口から脱出する参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
モックアップから脱出を終えた参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ライフベストを膨らませる参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JTAの格納庫でFacebookイベントの参加者を待つさくらジンベエ=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
参加者の名前が書かれた飛行船を見て喜ぶFacebookイベントの参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
参加者の名前が書かれた飛行船を見て喜ぶFacebookイベントの参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
さくらジンベエと参加者の名前が書かれた飛行船を撮影する参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
さくらジンベエについて説明を受ける参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
さくらジンベエの機内で参加者に飲み物を手渡すJTAの客室乗務員=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
さくらジンベエの機内で参加者に飲み物を手渡すJTAの客室乗務員=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
さくらジンベエのコックピットで「いいね!」ポーズを取る参加者とJTAのパイロット=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
機内アナウンスを体験する参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
那覇空港内のJTA格納庫に揃った(奥から)さくらジンベエとトーイングカー、トーイングトラクター=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
さくらジンベエの前方貨物室ドア=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
さくらジンベエの前方貨物室=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
さくらジンベエの前方貨物室=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
さくらジンベエの前方貨物室=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
さくらジンベエについて説明を受ける参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
さくらジンベエのAPU排気口=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
さくらジンベエについて説明を受ける参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
さくらジンベエ=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
那覇空港内のJTA格納庫に揃った(奥から)さくらジンベエとトーイングカー、トーイングトラクター=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
さくらジンベエ塗装のトーイングトラクターに乗りマーシャリング用パドルを手に記念写真に収まる参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
三線を披露するOASの大城さん=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
さくらジンベエの前で大城さんの三線に合わせて歌を歌う参加者=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
バスで会場を離れる参加者を見送るJTAとJALのイベントスタッフ=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
バスで会場を離れる参加者を見送るJTAとJALのイベントスタッフ=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
バスで会場を離れる参加者を見送るJTAとJALのイベントスタッフ=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
バスで会場を離れる参加者を見送るJTAとJALのイベントスタッフ=16年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
関連リンク
JAL Facebookページ
日本トランスオーシャン航空
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日本航空
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