三菱航空機と三菱重工業(7011)は3月10日、リージョナルジェット機「MRJ」の量産機の最終組立を行う新工場の内部を報道関係者に公開した。
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最終組立工場は、県営名古屋空港(小牧)に隣接し、3月1日に建屋が竣工。愛知県の飛島工場で製造する胴体や主翼、三重県の松坂工場が手掛ける垂直尾翼や水平尾翼などを結合し、機体として完成させる。生産レートは月産10機に対応し、製造にあたる作業者は現在試験機を製造している小牧南工場から移る。また、製造に用いる設備は今後搬入する。
工場内は、胴体や翼を結合する「構造ライン」と、全体の艤装(ぎそう)や機能試験を行う「艤装ライン」から成る。構造ラインで完成した機体は一度工場の外に出て、艤装ラインに入る。
MRJの製造工程は、クレーンを使わない「クレーンレス」を計画していたが、8トンクレーンを設置した。MRJの製造を担当する三菱重工 交通・輸送ドメイン MRJ事業部の立岡寛之・工作部長は「試験機の製造時に、クレーンレスでは治具が大きくなるなど、かえって手間がかかることが判明した」と説明。5機の飛行試験機と2機の静強度試験機を製造した際に得たことを、量産機の作業工程に反映したという。
また、工場見学者用の通路を2階に設けた。艤装ラインは機体が出入りする扉を除いた周囲3方向から見学できるが、構造ラインは一部のみとなる。立岡部長は「開かれた工場にしたい」と語り、地元の子供たちなどの見学を想定している。
2016年度には、展示コーナーや社員の研修施設、部品を整理する場所などが入る5階部分を設ける。
MRJは、2月に開かれたシンガポール航空ショーで、米国の航空機リース会社エアロリースと標準座席数88席の「MRJ90」を20機発注する契約について基本合意(LoI)を締結。内訳は確定発注10機、オプション10機で、3月にも正式契約を結ぶ見込み。この発注が確定すると、MRJの受注は427機(確定233機、オプション170機、購入権24機)となる。
量産初号機は2018年4-9月ごろ、ローンチカスタマーであるANAホールディングス(9202)へ引き渡す計画で開発を進めている。
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