ブラジルのエンブラエルは現地時間2月25日、次世代リージョナルジェット機「E190-E2」のロールアウト式典を、サンジョゼ・ドス・カンポスの工場で開いた。
E2シリーズは、現行のエンブラエル170(E170)とE175、E190、E195で構成する「Eジェット」の後継機。E190-E2のほか、E175-E2とE195-E2の3機種で構成する。
ロールアウトした機体は、E190-E2の飛行試験初号機(登録番号PR-ZEY)。初飛行は今年後半に予定しており、2018年から顧客への引き渡しを始める。飛行試験機は4機製造する。
メーカー標準の座席数は、E190-E2が1クラス106席、2クラスでは97席。2019年納入開始のE195-E2は1クラス132席、2クラス120席で、2020年に引き渡しを始めるE175-E2は1クラス88席、2クラス80席となる。
三菱航空機が開発を進める「MRJ」と同じく、低燃費と低騒音を特徴とする米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)製GTFエンジンを採用。推力の違いにより、E175-E2がPW1700G、E190-E2とE195-E2がPW1900Gを搭載する。座席数も1クラス92席の「MRJ90」や、1クラス78席の「MRJ70」と競合する。また、新設計の主翼も採用し、燃費や騒音を改善する。
E2シリーズは2013年6月に開発がスタートし、これまでに航空会社とリース会社から640機の受注を獲得。内訳は267機が確定発注、373機がオプションや購入権となっている。
一方、MRJは2月16日に米国の航空機リース会社エアロリースと20機(確定10機、オプション10機)の発注について基本合意(LoI)しており、契約締結に至ると受注機数は427機(確定233機、オプション170機、購入権24機)になる(関連記事)。
GTFエンジンを搭載する次世代リージョナルジェット機は、MRJが開発で先行していたが、日本にとって50年ぶりの旅客機開発のため開発が難航。初号機の引き渡し時期は4回延期され、現時点ではE190-E2とほぼ同時期の2018年4-9月ごろを予定している。
エンブラエルのEジェットは、50カ国の約70顧客によって運航されており、市場シェアは50%超にのぼる。MRJ最大のライバルであるE2シリーズがロールアウトしたことで、受注合戦はさらなる激戦になりそうだ。
関連リンク
Embraer
E2 PROGRESS REPORT
E190-E2 Production Timelapse (YouTube)
Pratt & Whitney
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