羽田空港の昼間時間帯での米国路線就航で合意したことについて、米国本土から乗り入れる米系3社は現地時間2月18日、声明を発表した。歓迎を表明する一方、失望感を表す航空会社もあり、見方が二分した。
アメリカン航空「ロサンゼルス便を昼に」
アメリカン航空(AAL/AA)のスコット・カービー社長は、「利用客の利便性の向上に繋がる」とし、合意を歓迎。現地時間2月11日に運航を開始した、深夜帯に羽田を発着するロサンゼルス便については、今秋をめどに昼間帯に変更するとの意向を明らかにした。
アメリカン航空は成田に、ダラス・フォートワース便を1日2往復、シカゴ、ロサンゼルスの各便を1日1往復運航。羽田には午後11時に到着し、翌日午前1時30分に出発するロサンゼルス便を運航している。
ユナイテッド航空「ビジネス・観光でアピール」
ユナイテッド航空(UAL/UA)は「羽田空港に昼間に乗り入れられることは、世界中の利用客にビジネスと観光面でアピールできる」とし、合意を歓迎した。
ユナイテッド航空は成田に、ワシントンDCとヒューストン、ロサンゼルス、ニューアーク、シカゴ、デンバー、サンフランシスコの各便を1日1往復運航。本土以外ではグアム便を1日3往復、ホノルル便を1日1往復運航している。以遠権を利用した第三国路線は、ソウル(仁川)とシンガポールにそれぞれ1日1往復ずつを運航している。
羽田には午後10時35分に到着し、翌日午前0時20分に出発するサンフランシスコ便を運航している。
デルタ航空「事業への影響避けられず」
デルタ航空(DAL/DL)のピーター・カーター執行副社長兼CLO(最高法務責任者)は、「羽田空港は(今回の合意により)競争が引き続き制限され、厳しく規制された空港となる」とした上で、「非常に残念に思う。事業への影響は避けられない。成田空港のハブ機能や、現在のアジア路線を継続できるよう最善を尽くす」との声明を発表した。
デルタ航空は1月22日に発表した声明で、羽田の昼間帯乗り入れに合意した場合、「国際空港としての成田を殺すことになる。現在7路線を運航する、米国本土との直行便から撤退せざるを得ない」とし、強くけん制していた。
デルタ航空は成田に、アトランタとデトロイト、ロサンゼルス、ニューヨーク、シアトル、ミネアポリスの各便を1日1往復、ポートランド便を週5往復運航している。
本土以外ではグアム便を1日3往復、サイパン便を1日1往復、ホノルル便を週11往復運航してる。以遠権を利用した第三国路線は、バンコクとシンガポール、マニラ、上海、台北の各便を1日1往復、香港便を週5往復のほか、コロール(パラオ)便を週4往復運航している。
羽田には午後10時20分に到着し、午前0時10分に出発するロサンゼルス便を運航している。
同社は成田を「アジアのハブ」と位置づけている。また2014年12月には米国以外では初となる整備用ハンガー(格納庫)を開設。米系航空会社では、ハンガーを唯一保有している。
リチャード・アンダーソンCEO(最高経営責任者)は2013年7月の来日時、2014年春の羽田国際線発着枠の配分に公正さを求め、「JAL(日本航空、9201)やANA(全日本空輸)だけが羽田に戻ることは不公正だ」と訴えていた。(関連記事)
国土交通省は2月16日から18日まで、都内で米国の航空当局と協議。羽田空港の昼間時間帯に米国路線が就航することで合意した。
DOTが仮配分
・米運輸省、羽田昼間便に4都市 新規はミネアポリス(16年7月21日)
2月18日に合意
・日米航空交渉が合意 羽田昼間便を5便ずつ(16年2月18日)
難航していた日米航空協議
・国交省、都内で日米航空協議 16日から2日間(16年2月12日)
・国交省、日米航空協議延期 米当局の申し出で(16年2月8日)
・国交省、米当局と羽田昼間枠を協議 2月都内で(16年1月29日)
・日米航空交渉、羽田昼間便を継続協議 16年に都内開催(15年12月7日)
航空各社も期待感
・羽田の昼間発着枠、アメリカン航空副社長「非常に期待」(16年2月12日)
・ANA篠辺社長、北米-アジア接続需要「変更なし」(16年2月3日)
・ハワイアン航空、羽田-ホノルル搭乗率90%超 日米交渉に期待感(15年12月9日)
・JAL植木社長、羽田-北米便に期待感 2日から日米航空交渉(15年12月1日)
現在、米系航空会社は深夜早朝帯に運航
・アメリカン航空、羽田-ロサンゼルス就航 787で深夜便(16年2月13日)
・ユナイテッド航空、羽田就航 サンフランシスコ線開設(14年10月27日)
デルタ航空は成田に格納庫を保有
・滑走路脇で迫力の離着陸見学 競争率28倍、成田で夏休み教室(15年8月25日)
・デルタ航空、成田空港に格納庫 米国外で初保有(14年12月2日)