全日本空輸(ANA/NH)は12月11日、羽田-シドニー線を1日1往復で開設した。同社便の豪州路線としては、1999年3月に撤退した関西-シドニー線以来16年9カ月ぶり。
運航機材は787-9で、座席数は215席(ビジネス48席、エコノミー167席)。NH879便は羽田を午後10時10分に出発し、シドニーに翌日午前9時35分に到着する。折り返しのNH880便はシドニーを午後9時30分に出発、羽田着は翌日午前5時5分となる。
ビジネス需要取り込みへ
初便には、映画『スター・ウォーズ』に登場するロボット「R2-D2」を描いた787-9の特別塗装機「R2-D2 ANA JET」(登録番号JA873A)を投入。乗客205人を乗せ、定刻の午後10時10分に出発し、同30分に離陸した。
羽田を夜に出発し、早朝に到着する時間帯に設定することで、国内各地からの乗り継ぎの利便性を高める。また、政府は今年1月、豪州と日豪EPA(経済連携協定)を発効。観光需要に加えて、増加傾向にあるビジネス需要も取り込む。
シドニー空港では、ヴァージン・オーストラリア(VOZ/VA)とインターライン契約を締結。乗り継ぎやロストバゲッジ(荷物紛失)などで提携する。また、シドニーからニュージーランドへは、ニュージーランド航空(ANZ/NZ)とコードシェアを実施する。
豪州発需要も期待
ANAの篠辺修社長は、ロードファクター(座席利用率)について「平均80%が目標、ビジネスクラスは70%程度期待できる」と述べた。
約16年ぶりの再開理由については、「16年前は747を中心に飛ばさざるを得なかったので、観光需要だけでは採算性が良くなかった。787-9で運航を始めたが、需給バランスに応じて(より座席数が多い)777や、(座席数が少ない)787-8を使い分ければ、ロードファクターは一定レベルを維持できる。両国間の経済活動も、16年前より活発化している」として、機材の進化やビジネス需要の増加を挙げた。
一方、豪州は航空連合「ワンワールド」に加盟するカンタス航空(QFA/QF)のお膝元。ANAが加盟する航空連合「スターアライアンス」のパートナーがいないため、シドニーから先の乗り継ぎ需要拡大が課題となる。
篠辺社長は「ワンワールドとの競争が厳しいので、アジア・オセアニア路線の中では時間を掛けて踏み切った」とし、「16年前と比べ、豪州の人が格段に日本を旅行するようになっており、北海道など東京以外も期待できる」と述べ、羽田から国内線への乗り継ぎ需要にも期待感を示した。
ANAによると、日本発とオーストラリア発の発券割合は、日本が6割、残り4割がオーストラリア。おおむね半々となっている他の国際線より、日本発の割合が高い。
羽田-シドニー線は、カンタス航空が8月1日から1日1往復運航している。両社を合わせると、1日2往復となった。
ANAの豪州路線は1987年11月、成田-シドニー線を直行便で運航開始。その後、往路をブリスベン経由、復路は成田直行便とし、1998年6月まで週6往復で運航していた。関空からは1994年11月、往路ブリスベン経由のシドニー便を運航開始。1999年3月まで週2往復で運航していた。運休したことで、豪州から撤退していた。
撤退後の1999年3月、スターアライアンスに加盟していたアンセット・オーストラリア航空(AAA/AN)が関空-シドニー線を往路ブリスベン経由で開設。1日1往復を運航し、ANAとコードシェアを実施していたが、AAAは2001年に倒産した。
運航スケジュール
NH879 羽田(22:10)→シドニー(翌日09:35)
NH880 シドニー(21:30)→羽田(翌日05:05)
*写真は11枚。
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