国土交通省大阪航空局と同局の広島空港事務所は11月25日、航空機事故を想定した消火救難総合訓練を実施した。航空局や空港事務所、消防、警察、海上保安庁、広島県など49機関300人が参加し、観光バス2台を旅客機に見立てて訓練した。
今回の訓練は夜間の事故を想定した。羽田発広島行きCAB航空2015便(ボーイング737-800型機)が飛行中、左側にある第1エンジンでトラブルが発生し、第2エンジンのみの飛行となって機長が非常事態を宣言。着陸後に滑走路中央付近で突如第1エンジンから出火し、航空局や地元消防による消火活動と並行して、多数の乗客が負傷したとのシナリオで進められた。
300人のうち、乗客役は42人。1人が死亡し、42人が重軽傷を負ったとして、搬送訓練が行われ、救急医療活動を実施した。搬送された乗客役には、血のりなど実際のけが人に見えるメークを施した人も配し、けがや病気の緊急性などに応じて治療の優先順位を付ける「トリアージ」も行われた。
海上保安庁や県の防災ヘリも参加し、重傷者を搬送する訓練も実施。現場の合同指揮所に置かれた指揮卓には、航空機の模型や消防車、救急車のミニカーが置かれ、消防・救急各隊の配置状況がひと目でわかるようになっていた。
訓練を終え、広島空港事務所の漆島重人空港長は、「情報伝達の訓練がうまく行かなかった。確実にできるよう改善したい」と、今後の課題を指摘。一方で「本格的に実施することで、改善点も発見できたことは収穫だった」と述べた。
25日の訓練は雨天の中実施されたため、当初参加予定だった県のドクターヘリは、出場を見合わせた。
広島空港では今年4月14日夜、着陸したアシアナ航空(AAR/OZ)の機体が滑走路を逸脱し、機首を進行方向と逆方向に向けて停止。けが人が発生した。
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