民事再生手続き中のスカイマーク(SKY/BC)は9月29日、スポンサーから180億円の募集株式の払い込みを受け、既存株式を消却する100%減資を実施した。同日開いた臨時株主総会で、ANA側からの役員を含む新体制へ移行し、経営再建を本格化させる。
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ロールス・ロイスも確定目途
今月17日には、スカイマークはみずほ銀行とコミットメントライン契約を締結。契約期間は2020年9月29日までで、融資枠は100億円に設定した。
申立人代理人の中原建夫弁護士は「資金繰りに盤石な体制が整った」と説明した。基本弁済は11月30日から実施。100万円までの債権は全額、100万円超の債権は5%を支払う。追加弁済の時期は決定していない。
大口債権者である米国の航空機リース会社イントレピッド・アビエーションの債権額は、573億円超で確定。残る大口債権者のエアバスと英ロールス・ロイス、米国の金融サービス会社CITグループは未確定のままとなった。
中原弁護士によると、ロールス・ロイスとは確定する目途が立ったという。CITはイントレピッドとの枠組みを軸に調整すると述べた。中原弁護士は「残りの3社と合意して、基本弁済と追加弁済の同時実施を目指す」と語った。
コードシェアは16年冬期にも
全日本空輸(ANA/NH)とはコードシェア(共同運航)契約を締結したが、路線や時期は未定。羽田発着の札幌線と福岡線では実施しないことから、ANA側が関心を示す羽田-鹿児島線や、神戸発着路線で調整が進むと見られる。
スカイマークの佐山展生会長はコードシェアの開始時期について、「10月中旬くらいまでに方向性を示し、2016年の冬ダイヤから実施したい」とした。ANAの予約システム「エイブル」については、「利用する・しないに関わらず、システムには手を入れなければならない」(佐山会長)と述べるに留め、含みを持たせた。
独立性について佐山会長は「実体はもちろん、外から見ても『独自路線で頑張っている』と見えるようにANAの支援を受けたい」と話した。また、独自サービスとして「地域密着」を掲げ、神戸空港や茨城空港などで、地元密着型のサービスを展開する意向を示した。
29日で退任した井手隆司前会長は、退任直前のAviation Wireの単独インタビューで、エイブルを導入するか否かが、独立性を示す指標になるとしている(関連記事)。
路線計画「1年以内増減なし」
新路線開設や運休など路線計画について、市江正彦社長は「1年以内の増減はない」としながらも、「構造的に低コスト化を実現できるのであれば、開設する可能性はある」と示唆した。
現在の機材は、ボーイング737-800型機(177席)が27機。機材数について佐山会長は、2016年1月にリース契約が切れる1機の更新を検討中とし、「最低でも26機体制で回していく」と述べた。
市江社長はこれまで、スカイマーク便に搭乗したことがなかったという。6月に初めて利用し、「清潔感のあるシートが良かった。『安い=シートが良くない』と思っていた」と感想を述べた。客室乗務員や空港旅客係員などの社員の印象を「若くてはつらつとしている」と評し、「みんな頑張っている。必ず良くなる」と再建の見通しを語った。
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