12月1日に社名変更を実施する、スカイネットアジア航空(ソラシド エア、SNJ/6J)。同社は2011年7月1日から、現在のブランド「ソラシド エア」を導入し、同月15日からソラシド塗装が施されたボーイング737-800型機の初号機(174席、登録番号JA801X)が就航した。
737-800の内装は、LED照明など787の内装を737仕様にした「ボーイング・スカイ・インテリア」を採用。シートピッチも32インチ(約81センチ)と、大手2社の30インチ(約78センチ)から31インチ(約79センチ)に比べて広くした。快適性を売りにする、北九州空港が拠点のスターフライヤー(SFJ/7G、9206)の34インチ(約86センチ)とは2インチ差があるが、国内航空会社の普通席では広いシートピッチの部類に入る。
国土交通省航空局(JCAB)が6月に公表した国内航空各社の2015年1-3月期定時運航率では、90.16%と全日本空輸(ANA/NH)の94.35%や日本航空(JAL/JL、9201)の93.35%と比べ、遜色ない値に達している。
東京のオフィスも、7月に入って羽田空港・旧整備場地区から新整備場地区に移転。10階のオフィスの眼前には、羽田空港国内線ターミナルやC滑走路が広がる好立地だ。
一方で、かねてから髙橋洋社長は、首都圏での知名度の低さを懸念している。シートピッチの広さや無料ドリンクなどの機内サービス、大手並みの運航品質と、一度乗ってもらえれば良さをわかってもらえるはずのソラシド。しかし、なかなか知名度向上に結びついていない。
記者(私)の日経ビジネスオンラインでの連載「天空万華鏡」でも、この課題を「広報戦略でLCCに負けた新規航空会社」として取り上げた。記事では、サービスを充実させるだけではなく、利用者にしっかりアウトプットできる体勢の構築も不可欠だと指摘した。
社名変更まで、あと3カ月。スカイネットアジア航空として、最初で最後の国際線チャーターも10月に控えている。髙橋社長にソラシドの現状と今後を聞いた。
記事は前編と後編の2回。前編はブランディングや社名変更について、後編では経営戦略や、スカイマーク(SKY/BC)の経営破綻で注目を浴びる「第3極としての新規航空会社」について聞いた。
—記事の概要—
・広告代理店に頼り切らない
・「社名もソラシドにしたら?」
広告代理店に頼り切らない
── 12月に社名変更する。首都圏戦略を重視するのであれば、もう少し広報戦略に力を入れても良いのでは。
髙橋社長:広報について、どうすれば良いかをわかっている人が少ない。コストを掛けてでもやるという意識が、全社的に弱かった。
首都圏は限りなくマーケットが大きく、お金を掛けないと周知が難しい。一方、地盤である九州・沖縄であれば、行政や自治体のトップと会う機会を交渉しやすい。やりやすさを選んでしまった面もある。
もっと早い時期で首都圏や中部圏、関西圏へのアプローチも、積極的に動くべきだった。大手広告代理店からも、これほど企業広報にお金を掛けていない会社は少ないと言われた。
営業の広告PRにはお金を掛けているが、企業広報にお金をほとんど掛けてこなかったのは事実。再建途上という意識があったからだ。
(天空万華鏡の記事を見て)社員からは、ほら見ろという声もあった。うちは他社と比べて、現場重視、技術重視で少し慎重だと思う。それは悪いことではないが、今はコストを掛けてでもブランドを知ってもらえるよう、変わりつつある。
これまでは、より安全で正確で、快適な運航品質を実現することに、ほとんどのエネルギーを割いていた。今だからこそ、もうちょっと早く出来なかったのかという話になるが、もし社長に就任した4年前にすぐやっても、成果は出なかったのではないかと感じている。“絵に描いた餅”で、終わっていたかもしれない。
── 国内大手2社からは、「電通や博報堂は高いだけで、思ったような効果が得られていない。費用対効果が悪い」という不満をよく聞く。頼りすぎない方が良いのではないか。
髙橋社長:かつて携わった組織の経験も踏まえると、(その指摘は)すごく正しいと思う。しかし、
これより先は会員の方のみご覧いただけます。
無料会員は、有料記事を月あたり3記事まで無料でご覧いただけます。
有料会員は、すべての有料記事をご覧いただけます。
会員の方はログインしてご覧ください。
ご登録のない方は、無料会員登録すると続きをお読みいただけます。
無料会員として登録後、有料会員登録も希望する方は、会員用ページよりログイン後、有料会員登録をお願い致します。
* 会員には、無料個人会員および有料個人会員、有料法人会員の3種類ございます。
これらの会員になるには、最初に無料会員としての登録が必要です。
購読料はこちらをご覧ください。
* 有料会員と無料会員、非会員の違いは下記の通りです。
・有料会員:会員限定記事を含む全記事を閲覧可能
・無料会員:会員限定記事は月3本まで閲覧可能
・非会員:会員限定記事以外を閲覧可能
* 法人会員登録は、こちらからお問い合わせください。
* 法人の会員登録は有料のみです。