エアライン, 企業, 空港 — 2015年8月27日 18:15 JST

国交省、空港でボディスキャナー評価実験 10月から羽田と成田、関空で

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 国土交通省航空局(JCAB)は8月27日、空港に今後導入するボディスキャナーについて、10月以降羽田空港と成田空港、関西空港で評価実験を実施すると発表した。

L3のボディスキャナーProVision ATD(左)とProVision 2(同社提供)

 ボディスキャナーは、保安検査場で乗客が爆発物や銃器、刃物など、持ち込み禁止物を所持していないかを電波で検査する機器。欧米の空港などで導入が進んでおり、検査時間が10秒程度と、係員が接触検査するよりも短時間で効果的に検査できる。

 プライバシー保護の観点から、係員が見る画面内の人の形をしたイラスト内に検査結果を表示。データも検査の都度自動で消去される。使用する電波の「ミリ波」は、携帯電話の数百分の1から1万分の1の電波強度で、放射線と異なり身体への影響がないという。車いすやペースメーカーなどの医療機器を利用している人は、保安検査場の係員に相談してもらう。

 評価試験の期間は10月から12月までで、関空を皮切りに成田と羽田で実施する。関空第2ターミナル(LCCターミナル)では10月15日から26日まで(午前6時から8時30分、午後7時から8時30分)、成田第1ターミナルでは10月27日から11月3日と、11月18日から12月3日まで(いずれも午前8時から10時、午後2時から4時)、羽田国際線ターミナルでは11月5日から16日と、12月5日から16日まで(いずれも午前7時から11時)。ターミナル内の一部検査レーンを使用して、1日あたり約4時間行う。

ボディスキャナーによる検査(国交省航空局の資料から)

 使用機器は米L3社の「ProVision ATD」と「ProVision 2」、独スミス ディテクション社の「eqo(エコ)」、独ローデ・シュワルツ社の「QPS2000」の3社4機種を使用する。

 関空ではProvision ATD、成田ではProvision 2とeqo、QPS200、羽田ではQPS2000とProvision 2で試験を実施する。L3の2機種は、機器内部で両手を上げて約3秒間停止すると、7秒から10秒で結果が出る。eqoは、両手を上げて機器内部で被験者が360度回転し、12秒から20秒で検出する。QPS2000は、手を下ろして静止すると約10秒で結果が出る。

 評価試験を実施する保安検査場では、期間中は全利用者がボディスキャナーで検査を受ける。

 ボディスキャナーの実証実験は、2010年7月から9月に成田で実施したが、実験で使用した機器の一部にプライバシー保護の観点で課題があるものがあったという。JCABでは、今回はプライバシー保護や健康への影響にも十分配慮された機器を使用すると説明している。

関連リンク
国土交通省
L3 ProVision(日本エアロスペース)
スミス ディテクション
ローデ・シュワルツ・ジャパン

国交省航空局の16年度概算要求、羽田・成田の機能強化など3953億円(15年8月27日)