エアライン, 解説・コラム — 2015年8月10日 16:25 JST

CAの表情明るくなったバニラ 搭乗ルポ・2日でLCC 4社に乗ってみた 2015(1)

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 2012年3月に国内初のLCC、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)が就航して3年が過ぎた。弊紙創刊はその1カ月前だったので、国内LCCの歩んだ道を弊紙はなぞってきたとも言える。

 今年の8月に入り、ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)が5日に、ピーチが6日に、それぞれ累計搭乗者数が1000万人を突破した。そして、ピーチは8日に国内LCC初となる羽田路線、台北線を開設するに至った。

本館とサテライトを結ぶ連絡橋からの眺め=5月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
1日目に3社、2日目に1社で4社搭乗
お盆は大手しのぐ予約率も
スカイライナーで成田へ
本館かサテライトか確認を
大手より厳格なシートベルト確認
明るくなったバニラCAの表情
2便目は45分遅れ

 弊紙では国内LCCが3社になってゴールデンウィークを初めて迎えた2013年から毎年、連休明けの閑散期に全社搭乗する搭乗ルポ「1日でLCC 3社に乗ってみた」の取材を実施している。しかし、2014年8月に春秋航空日本(SJO/IJ)が就航したことで、国内LCC全社を1日で乗り終えることは困難になった。そこで今年は2日に分けて乗ることにした。

 搭乗ルポ第1回目の今回は、国内LCCのゴールデンウィーク利用実績や、お盆休みの予約状況を取り上げた上で、1便目のバニラエア(VNL/JW)の搭乗ルポを掲載。次回以降は残り3社の搭乗ルポを、1回ずつ載せていく。

1日目に3社、2日目に1社で4社搭乗

 4社のLCCに乗った日程は連休翌週の火曜と水曜日で、5月12日と13日の2日間。これは毎年揃えている条件で、連休明けの平日中日(なかび)を選んでいる。例年通り、LCC各社には事前告知をしていない。今回の取材は、LCCターミナルこと「第3ターミナル」が4月8日に開業して以来、弊紙では最初の搭乗ルポになる。

 1日目の12日は、バニラエアとピーチ、ジェットスターの3社に乗る。まず、成田空港を午前7時35分に出発するバニラのJW903便で札幌入り。新千歳空港内でジンギスカンを食べた後、ピーチの午後0時55分発MM104便で関西空港に着き、ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)の午後4時35分発GK206便で成田へ戻るというルートだ。

 翌13日は再び成田へ向かい、残る春秋航空日本の午前8時50分発IJ621便で広島へ向かった。

 しかし、12日は台風6号が西日本の太平洋側を進んだ影響で、記者(私)が乗る便も一部影響が出た。この結果、2日間で乗り終えるはずが、3日掛かりとなってしまった。予定通り乗れなかったのは、3年目にして初の出来事だった。

5月12日(予定)
1便目 JW903 成田(07:35)→札幌(09:15)
2便目 MM104 札幌(12:55)→関西(15:05)
3便目 GK206 関西(16:35)→成田(17:55)

5月13日(予定)
4便目 IJ621 成田(08:50)→広島(10:30)

お盆は大手しのぐ予約率も

 搭乗ルポの前に、4社のゴールデンウィーク期間中(4月28日から5月6日まで)の利用実績と、お盆期間中(8月7日から16日まで)の予約状況を見てみよう。

航空各社が発表したゴールデンウィーク期間の搭乗実績(各社の発表資料からAviation Wire作成)

 ゴールデンウィークのロードファクター(座席利用率、L/F)は、ピーチは国際線が89.7%(前年比3.6ポイント上昇)で国内線が91.1%(4.0ポイント上昇)、ジェットスターは国際線が88.1%(2月に1路線目の関西-香港線が就航)で国内線が87.9%(10.0ポイント上昇)、バニラは国際線が86.9%(0.6ポイント減少)で国内線が88.1%(20.7ポイント上昇)、春秋航空日本は78.1%(14年8月1日就航)となった。

 おおむねピーチが90%、ジェットスターとバニラがが80%台後半、春秋航空日本が70%台後半といったところだ。

 7月31日に各社が発表したお盆休み期間の予約率は、ピーチは国際線が86.4%(1.0ポイント上昇)で国内線が80.4%(6.0ポイント上昇)、ジェットスターは国際線が90.5%で国内線が69.1%(0.7ポイント上昇)、バニラは国際線が87.6%(2.8ポイント上昇)で国内線が87.2%(3.5ポイント減少)、春秋航空日本が65.4%(1.3ポイント減少)だった。

 ちなみに、大手を振り返るとANAは国際線が79.8%(7.7ポイント上昇)で国内線が70.3%(7.6ポイント上昇)、JALは国際線が85.0%(6.5ポイント上昇)で国内線が73.5%(6.7ポイント上昇)。昨年就航したばかりの春秋航空日本を除くと、国内LCCは大手2社をしのぐ予約率に達していると言える。

航空各社が発表したお盆期間の予約状況(各社の発表資料からAviation Wire作成)

スカイライナーで成田へ

 今回の取材初日は、5月12日火曜日。ゴールデンウィーク明けで観光需要が旺盛ではない時期であることと、LCC各社が一週間の中で安売りをする、すなわち乗客が多くない曜日の一つであることから、今回もこの時期と曜日を選んだ。

 昨年はJR東京駅前から成田空港まではの高速バス「THE アクセス 成田」を利用したが、今回は京成スカイライナーで向かった。日暮里駅からスカイライナー1号に乗り、第3ターミナルの最寄り駅、空港第2ビル駅で下車する。

成田第3ターミナルへ向かう通路。第2ターミナルからは15分程度かかる=5月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

バニラのチェックイン機=5月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 午前6時40分。空港第2ビル駅のホームに降りた。最初に乗るバニラの国内線はチェックインの締め切りが出発30分前なので、札幌行きJW903便(午前7時35分発)のチェックイン締め切りは午前7時5分だ。駅から第3ターミナルまでは約15分掛かるので、ダラダラしていると間に合わない。

 午前6時49分。第3ターミナルの建物入り口に着いた。自動チェックイン機に長蛇の列が出来ていたらアウトだが、閑散期とあって間に合いそうだ。

 スカイライナーのホームからここまで9分で着いた。普段は荷物が多い私だが、例年同様、LCC取材なので最小限に抑えた。カメラバッグ1つ(ドンケF-3XBB)にデジタル一眼レフ1台(ニコン D4S)、レンズ1本(ニコン 24-70mm/f2.8)、パソコン1台(MacBook Pro 13インチ Early 2015)という構成だ。ちなみに搭乗ルポに使用している写真は、すべてiPhone 5Sで撮ったもののみ使用している。

 荷物が少ないからこそ、短時間でターミナルまでたどり着けたが、いつものように重装備だったら、9分で来られただろうか。鉄道利用の場合、特に荷物が多い時は余裕ある移動を心掛けた方が良いだろう。

チェックインして保安検査場へ。150番台の搭乗口は目の前だ=5月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

本館かサテライトか確認を

 チェックインを終えて、午前6時59分に保安検査場を通過。搭乗口150Dへ向かう。

 私は第3ターミナルには、完成前から何度も足を運んでいる。「LCCターミナルには、ウォシュレットが付かないらしい」という取材を基に書いた記事は、各方面に波紋を呼んだ。結果的にウォシュレットは付いたのだが、こうした細かい部分も含めて愛着のあるターミナルなので、迷うことなく搭乗できるだろうと、高(たか)をくくっていた。

 国内線がサテライト、国際線は本館と、オープン前の非常におおざっぱな印象があった私は、迷わずサテライトへ向かう。

 本館とサテライトを結ぶ連絡橋で写真を撮っていると、サテライトから慌てて本館に戻る男性を見かけた。その時はなぜだかわからなかったのだが、自分がサテライトに着いて、彼の行動に納得がいく。

150番台搭乗口の入口=5月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

150D搭乗口に並ぶ乗客=5月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 「あ、本館だったんだ……」。サテライト入り口に着いたのは午前6時59分。周りを見回しても搭乗口150Dはない。当たり前だ。150番台は本館側にある搭乗口なのだ。保安検査場通過から4分程度で連絡橋を渡り終えたのだが、また本館に戻らねばならない。先ほど見かけた彼のように──。

 私が乗るJW903便の搭乗口150Dは、保安検査場の目の前にある。なんということはない、保安検査が済んだら、そのまま直進すれば良かったのである。サテライトに行く必要など、まったくなかったのだ。

 思い込みで行動することほど、恐ろしいものはない。保安検査場を出たら再度搭乗口を確認し、無駄な体力は消耗しないようにしよう。

大手より厳格なシートベルト確認

 あれほど構造を熟知していると自負していた第3ターミナル。最初に乗る便から失態を演じたことに軽いショックを受けていると、優先搭乗が始まった。そして午前7時11分、全員の搭乗がスタート、同20分に機内に入った。機内を見回すと、客室乗務員がお年寄りの荷物を収納する手伝いをしていた。

JW903便の機内=5月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 午前7時26分にドアクローズ。定刻より4分早い同31分にプッシュバックが始まった。大手2社と比べると、これでもかと言うほど、客室乗務員がシートベルトの状態を1席ごとに確認して回っている。足もとにしまった手荷物の収納状況もしかりだ。

 世の中には、ろくにLCCにも乗らず、「LCCは危ない」などとテレビなどでのたまう大手航空会社出身の“航空評論家”が存在する。こうしたLCCの安全に対する取り組みを見ても、


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