南アフリカ共和国のモハウ・ペコ駐日大使は8月5日、西アフリカで猛威を振るった「エボラ出血熱」について、同国をはじめとする南部アフリカで感染者が1人も出ていないことを受け、同地域の安全をアピールした。
感染源から南部アフリカまでは、およそ5000から6000キロ。航空機を利用して約7時間かかる。ペコ大使によると、南アフリカの医療体制はアフリカ大陸の中でも随一で、ヨハネスブルクのタンボ国際空港には、感染者を発見できる高い技術のスクリーニングカメラを設置しているという。
ペコ大使は「『エボラ出血熱=アフリカ』というイメージがあるが、南アフリカだけでなく、南部アフリカではエボラ出血熱は確認されていない」とし、「ロンドンやニューヨークなど、ほかの都市と同じくらい安全な地域だ」と胸を張った。
季節が北半球と逆になる南アフリカは、これから観光シーズンを迎える。ペコ大使は「南アフリカにいつ訪れるのか」と、旅行者の喚起を促した。
エボラ出血熱は、血液や体液が接触することでヒトからヒトに感染する疾患。患者の治療にあたった医者などの感染も確認されている。1976年にスーダンで確認されてから、中央・西部アフリカを中心にこれまでに20回以上、感染が拡大した。
直近の事例では2014年3月、西部アフリカのギニアで発生。今年8月4日時点での累計患者数は2万7890人で、うち1万1283人が死亡した。リベリアやナイジェリアで感染が拡大し、最も多くの感染が確認されたのは、シエラレオネの1万3426人。うち3951人が死亡している。死者が最も多かったのはリベリアの4806人。
WHO(世界保健機関)は2014年8月8日、「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(Public Health Emergency of International Concern)」を宣言。流行国に対応の強化を求めた。