ANAグループの貨物事業会社「ANA Cargo(ANAカーゴ)」とヤマト運輸、宮崎県、宮崎銀行(8393)の4者は7月29日、連携協定を締結したと発表し、宮崎空港で調印式に臨んだ。マンゴーや宮崎牛など、県産品の販路を国内外に拡大させ、官民共同で地域経済の活性化を図る。
4者はそれぞれ異なる分野を担当し、連携する。宮崎県はマーケット情報の収集や国内外での県産品の売り込み、販路を拡大したい生産者や事業者と海外バイヤーをマッチングさせる商談会の開催などで、県産品の輸出を促進させる。
宮崎銀行は、2013年10月に設立した農業や漁業従業者向け資金「みやぎん6次産業化支援ファンド」で、生産者や事業者に投資し援助する。県と宮崎銀行の2者は、県内事業者への支援を共同で実施する。
ANAカーゴとヤマト運輸の両社は、「国際クール宅急便」などの輸送サービスで輸出拡大を支援。国内では航空・陸上輸送方法を構築し、輸送時間の短縮を目指す。首都圏へはこれまでの翌々日配送から、翌日に配送する。
4者共同で、県内事業者が海外取引を展開できるよう、輸出支援セミナーの開催や必要書類の作成など輸出手続きを支援する。
宮崎県は自然と温暖な気候を生かして、黒毛和牛「宮崎牛」や完熟マンゴー「太陽のタマゴ」、生食用の完熟きんかん「たまたま」などを生産している。県は宮崎銀行と連携し6次産業を支援していたが、国内外への物流体制の構築や、県内事業者の海外での販路拡大などが課題となっていた。
ANAカーゴとヤマト運輸の両社は2014年5月、パートナーシップを強化。沖縄国際航空物流ハブを使用した物流やビジネスモデル構築などで連携し、海外の消費者にインターネットを通じて販売する「越境eコマース」で、日本の農水産品をアジアの富裕層に訴求している。
6次産業とは、農業や漁業などの1次産業に従事する人々が、収穫物を加工(2次産業)し、流通・販売(3次産業)することを意味する。経営を多角化することで雇用を確保し、所得向上につなげる。
・ANAカーゴ、ヤマトと連携強化 アジア富裕層取り込みへ(14年5月30日)