企業, 官公庁, 機体 — 2015年7月29日 08:54 JST

調布の墜落事故、生存者聴取と機体調査中心に=運輸安全委

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 7月26日に東京・調布市で単発プロペラ機パイパーPA-46-350P型機「マリブ・ミラージュ」(登録番号JA4060)が墜落した事故で、国土交通省の運輸安全委員会(JTSB)は28日、機体の損傷状況については、警察や消防の現場検証が終わり次第、機体を墜落現場から格納庫などに移して調査する考えを示した。

JTSBの後藤委員長=7月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 事故機には、旅客機のようにフライトレコーダーやボイスレコーダーが搭載されていない。今後同乗していた3人の生存者や整備関係者、目撃者から聞き取りを行う。生存者3人は現時点で面会ができない状態が続いていることから、容態が回復次第、健康状態を考慮して話を聞く。現時点では、事故機が離陸した調布飛行場に残された無線の交信記録を分析している。

 JTSBの後藤昇弘委員長は、「残存物や、エンジンがどういった状態だったかを調査する。生存者からは、事故が起きた際の機内の状況や、どういう操縦だったかを中心に、出来る限り話を聞きたい」と語った。一方、現段階では機体全体に調査が及んでいないとして、事故機の状態については公表を控えた。

 現場には事故調査官3人が入り、現場で調べられる範囲で調査を進めている。機体とほかの焼損物が重なり合っていることや、警察や消防が現場検証中であるため、JTSBが機体から部品を回収するなど状態を詳しく調べるまでには、しばらく時間がかかるとしている。

墜落したJA4060「マリブ・ミラージュ」(シップ・アビエーションのサイトから)

 これまでの事故では、機体を格納庫などに移して調査を進めた事例があったが、移送先や時期は決まっていない。

 今回の事故では、事故機に乗っていた5人のうち川村泰史機長ら男性2人と、住宅にいた女性1人の3人が死亡。JTSBでは、民間機の墜落により地上で死者が出たのは、戦後初めてとの認識を示した。自衛隊機や外国籍機は管轄外のため、JTSBとしては記録を持っていないという。

 事故機は26年前の1989年2月14日製造。東京・福生市の不動産関連会社ベル・ハンド・クラブが所有し、整備や管理を日本エアロテック(東京・調布市)が行っていた。川村機長が社長を務めていた飛行訓練を手掛けるシップ・アビエーション(東京・調布市)には、時間単位でリースされていた。

 2004年10月27日に調布飛行場から丘珠空港へ着陸後、再離陸を試みて失敗し、草地に機首から突っ込む事故を起こしている。この時に胴体前部の防火壁とプロペラのブレードが変形し、前脚用アクチュエーター取付部などが破損したが、けが人はなかった。この事故は国の航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)により、航空事故に認定された。

 機体を修理後の2005年7月12日には、墜落時とは別のパイロットの操縦で自衛隊機に異常接近した。事故機側が自衛隊機を認識していなかったことから、航空事故につながりかねない「重大インシデント」に認定されている。

関連リンク
運輸安全委員会
日本エアロテック
SIP Aviation

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