三菱航空機が開発を進めているリージョナルジェット機「MRJ」。4-6月期に予定していた初飛行は9-10月期に延期されたが、型式証明の取得は2017年上期、ローンチカスタマーである全日本空輸(ANA/NH)への初号機引き渡しは2017年4-6月期と、初飛行後のスケジュールは従来通りだ。
MRJが搭載するエンジンは、米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)製のGTF(ギヤード・ターボファン)エンジン「PurePower PW1200G」。PurePowerシリーズは、エンジンのファンを低圧コンプレッサーとタービンとは異なる速度で動作させることができるギア・システムを採用しているのが特徴だ。このシステムと新設計のエンジン・コアを組み合わせることで、燃費と排気、騒音を改善している。
同シリーズはMRJのほか、PW1100G-JMがエアバスA320neoファミリーに、PW1500Gがボンバルディアの小型旅客機Cシリーズに、PW1900Gがエンブラエルの第2世代Eジェット、E2シリーズのE190-E2とE195-E2に搭載される。
すでにPW1100G-JMを搭載したA320neoや、PW1500Gを積んだCシリーズの機体は、初飛行に成功している。Cシリーズは、110席から125席のCS100、130席から160席のCS300と、90席クラスのMRJと比べて1クラスから2クラス程度上のサイズだ。しかし、同じGTFエンジンを搭載し、新規開発した機体である点は、MRJと共通する。
CS300はデモフライト披露
昨年のファンボロー航空ショーでは、CS100のモックアップ展示のみで、実機の地上展示やデモフライトは、エンジントラブルの原因究明などの影響を受け、行われなかった。今年は一転し、6月のパリ航空ショーでは、CS100の飛行試験5号機(FTV5、登録番号C-GWXZ)が地上展示され、3月に初飛行に成功したCS300は、地上展示のほか、デモフライトで低騒音をアピールした。
CS100のFTV5は、ローンチカスタマーであるスイス インターナショナルエアラインズ(SWR/LX)の塗装が施されている。機内は前方に上級クラスのシート、後方に普通席のシートが用意され、航空会社などの関係者が機内に招待された。
上級クラスは2席-2席の1列4席、普通席は3席-2席の1列5席で、普通席はシートピッチを29インチから32インチまで、異なるピッチで設置してあった。スーツケースが3つずつ入る手荷物収納棚の大きさもアピールしていた。
6月末現在の受注はコミットメントを含めると603機で、確定受注は243機で、CS100がSWRなどから63機、CS300がマッコーリー・エアーファイナンスなどから180機受注している。
CS100はMRJよりやや大きく、CS300はボーイング737やエアバスA320のシリーズでは最小で、後継機が開発されない737-600やA318と同じサイズになる。
Cシリーズは2機種とも、日本の航空会社からは受注を獲得していない。ボンバルディアの中国・アジア太平洋地域のセールス担当バイス・プレジデント、アンディ・ソレム氏は「日本の航空会社はボーイング787の初期トラブルを経験している。もう少し時間が経てば、機体の良さをわかっていただける」と、自信をみせる。
GTFエンジンを搭載し、新規開発した機体であるCシリーズ。これらの共通点から、MRJの開発スケジュールで、今後どのようなことが起こりうるかを、事前に知ることができる機体でもある。Cシリーズの今を見てみよう。
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