企業, 機体 — 2015年7月26日 20:41 JST

調布に小型機墜落 日本エアロテックが訓練校へリース

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 7月26日午前11時すぎ、日本エアロテック(東京・調布市)が管理する単発プロペラ機パイパーPA-46-350P型機「マリブ・ミラージュ」(登録番号JA4060)が、東京都調布市富士見町の住宅街に墜落し、搭乗者の男性2人と住宅にいた女性1人が死亡、搭乗者の男性3人もけがをした。

墜落機JA4060「マリブ・ミラージュ」(シップ・アビエーションのサイトから)

 事故機を操縦していたのは川村泰史機長(36)。川村機長のほかに早川充さん、森口徳昭さん、花房剛さん、田村康之さんの計5人が搭乗していた。

 川村機長の飛行時間は600時間から700時間で、新関西国際空港会社が2013年5月に開いたセミナーでは、講師を務めた。この時のプロフィールによると、川村機長は米国と日本で訓練後、パイロットライセンスを取得して日本エアロテックに入社。その後同社を分社化する形で、2013年に飛行訓練を手掛ける「シップ・アビエーション」(東京・調布市)を設立した。川村機長は、シップの社長と主席飛行教官と紹介されていた。

 事故機は、日本エアロテックからシップへのリース機。6月15日以来、1カ月以上飛行していなかったことから、7月22日に川村機長が試験飛行を行い、機体に問題がないかを確認していた。日本エアロテックによると、この時に機体やエンジンには問題はなかったという。

 事故機は26年前の1989年2月14日製造。2004年10月27日に、調布飛行場から丘珠空港へ着陸後、再離陸を試みて失敗し、草地に機首から突っ込んだ。胴体前部の防火壁とプロペラのブレードが変形し、前脚用アクチュエーター取付部などが破損したが、けが人はなかった。この事故は国の航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)により、航空事故に認定された。

 また、事故機は機体修理後、自衛隊機に異常接近するトラブルを埼玉県で起こしていた。2005年7月12日、埼玉・入間基地を離陸した航空自衛隊第402飛行隊所属の輸送機・川崎C-1(機体番号78-1025)に対し、調布飛行場を離陸した事故機が、入間基地南東18.5キロ(調布飛行場の北東5.6キロ)上空で異常接近した。この際、航空機の破損やけが人はなかった。このトラブルは事故調査委員会から、航空事故につながりかねない「重大インシデント」に認定された。

 国の運輸安全委員会(JTSB)では、事故調査官3人を派遣し、調査にあたっている。日本エアロテックは、26日午後5時すぎから本社で会見し、小山純二社長が謝罪した。

墜落機JA4060「マリブ・ミラージュ」のコックピット(シップ・アビエーションのサイトから)

2004年10月に丘珠空港の草地に突っ込んだ墜落機JA4060(航空・鉄道事故調査委員会の報告書から)

関連リンク
日本エアロテック
SIP Aviation
運輸安全委員会

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