民事再生手続きを進めるスカイマーク(SKY/BC)の最大債権者である米国の航空機リース会社、イントレピッド・アビエーションは7月15日、都内でデルタ航空(DAL/DL)とともに会見を開き、SKYの再生計画案を説明した。自らも条件が整えば300億円の債権を取り下げるとして、債権者へ支持を訴える。一方、SKYとの話し合いには現時点で至っていないことを明らかにした。
イントレピッドは、SKYの再生計画案におけるスポンサー候補にDALを選定。DALがスポンサーに就くことに加えて、8月5日に開かれる債権者集会でイントレピッド案が可決・認可されるなどの条件が整えば、債権のうち300億円を任意で取り下げる。
15億円を弁済原資に
再生計画案はイントレピッド案とスカイマーク案の2案がある。イントレピッドは債権取り下げにより、約15億円が他の債権者へSKYが弁済する原資に充てられるようになるとして、債権者に支持を求めていく。一方、スカイマーク案に参画する投資ファンド「インテグラル」がDALのスポンサー就任を拒否したり、債権者集会でイントレピッド案が否決された場合などは取り下げない方針。
イントレピッドのフランクリン・プレイ社長兼CEO(最高経営責任者)は、「SKYの再生は、債権者やSKY自身、従業員、利用者といったすべての利害関係者に最善となる方法で行われるべきだ」と述べ、自社案への支持を訴えた。同社によると、15日の会見に先立って開かれた債権者向け説明会には、81社133人が参加したという。
8月5日の債権者集会の投票では、議決権額の過半数の賛成と、投票した債権者の過半数が賛成するという、2つの条件をともに満たさなければ可決されない。
A330の引取先決まらず
スポンサー候補であるDALは、航空連合のスカイチームを構成。同じ航空連合のスターアライアンスは全日本空輸(ANA/NH)、ワンワールドには日本航空(JAL/JL、9201)が日本の航空会社として加盟しているが、スカイチームは日本のパートナーがおらず、DALはSKYを引き入れたい考えだ。
これまでもDALとSKYは提携交渉を進めていたが、SKYが独自の予約システムを採用していることやマイレージ会員組織がないこと、低価格戦略でDALが求めるサービス水準に達していないなど、考えが一致しない項目があるため、提携に至っていない。
DALの森本大・日本支社長は「予約システムは標準的なものへの変更やマイレージサービスなどを提案し、サービス向上を手伝いたい。収益管理システム導入も手伝える」と、支援に前向きな姿勢を示した。
一方、出資比率については明言を避けた。航空法では、外資系企業の出資を最大33.3%とするなどの規制があることから、最大2割から3割程度となる見込み。また、予約システムなどを導入した場合の稼働時期は未定だという。
SKYはエアバスA330-300型機をリース契約により、10機の導入を予定していた。このうち、7機をイントレピッドが、3機を米国の金融サービス会社CITグループがリースする予定だった。
SKYが経営破綻した時点で受領していたのは5機で、イントレピッドの機体は4機。これら7機のA330について、DALの森本支社長は「リース契約の話がイントレピッドからあったが、合意に至っていない」と述べ、現時点でも引取先が決まっていないことが明らかになった。
イントレピッドによると、現時点では再生計画案について、SKY側と話し合いは持たれていないという。また、ANAホールディングス(9202)が参画するスカイマーク案については、債権者側が賛成している認識は持っていないとして、イントレピッド案への賛同を求めていく。
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