フランスで開催中のパリ航空ショーで、三菱航空機の森本浩通社長は現地時間6月17日、開発中のリージョナルジェット機「MRJ」について、今年9-10月期の初飛行と2017年4-6月期の量産初号機引き渡しを、計画通り実現できるとの見通しを語った。一方、同ショーでは受注獲得に至らなかった。
MRJの合計受注数は、確定受注223機、オプション160機、購入権24機の計407機。ローンチカスタマーで量産初号機を受領予定の全日本空輸(ANA/NH)のほか、国内では日本航空(JAL/JL、9201)が32機発注しており、2021年から受領を予定している。
森本社長は「スケジュールに影響を及ぼす要因はない」と述べ、初飛行と初号機引き渡しは順調に進むとの見方を示した。
昨年英国で開かれたファンボロー航空ショーでは、2社から受注を獲得したが、パリではゼロに終わった。森本社長は、「お客様は結果を見たいとおっしゃっている。時間の問題であり解決できる」として、初飛行後の受注に期待を寄せた。
パリ航空ショーでは、材質を変更したシートを設置したモックアップが展示され、コックピットに備える計器表示のデモンストレーションも行われた。計器は4つの15インチLCDが使われ、ロックウェル・コリンズがシステムを手掛ける。航路表示などを従来品から改良することで、パイロットの負荷軽減を見込んでいる。
三菱航空機はMRJの飛行試験機を5機製造。2014年10月にロールアウト(完成披露)した初号機(登録番号JA21MJ)は、今年6月8日に走行試験を開始した。
残り4機については、赤いラインが入った2号機(JA22MJ)は機能試験と技術試験を開始。黒いラインの3号機(JA23MJ)は脚の取り付けが完了し、艤装(ぎそう)作業を進めている。赤と黒のラインの4号機(JA24MJ)は翼胴結合の作業が進んでおり、ANA塗装を施す5号機(JA25MJ)も製造を進めている。最終組立は三菱重工業(7011)の名古屋航空宇宙システム製作所(名航)小牧南工場で実施しており、2016年春に竣工予定の小牧南新工場は、月産10機に対応する。
70-100席クラスのリージョナルジェット機の市場規模については、三菱航空機では2034年までの20年間に全世界で5190機と予測。地域別では、36%の北米が最大規模で、欧州16%、アジア太平洋14%、中国12%、ラテンアメリカ7%、CIS6%、アフリカ5%、中東4%の割合になるとみている。MRJで市場シェアの50%獲得を目指す。
*森本社長へのインタビューやモックアップの写真特集を別途掲載予定です。
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三菱航空機
MRJ First Taxiing June 8, 2015(YouTube、1分16秒)
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