民事再生手続き中のスカイマーク(SKY/BC)は5月29日、再生計画案を東京地方裁判所に提出した。約3089億円の届出債権額うち、総額180億円を確定後に支払うことを盛り込んだ。三井住友銀行(SMBC)と日本政策投資銀行(DBJ)が折半で投資ファンドを設立し、投資ファンド「インテグラル」とANAホールディングス(9202)とともに支援。出資から5年以内の再上場を目指す。
新たに組成した投資ファンドは「UDSエアライン投資事業有限責任組合」で、DBJと子会社のDBJコーポレート・メザニン・パートナーズが運営する。SKYへの出資比率は、インテグラルが50.1%、UDSが33.4%、ANAHDが16.5%。
SKYの取締役6人のうち3人をインテグラルが、2人をANAHDが、1人をUDSが指名する。インテグラル指名のうち1人を代表取締役会長に、UDSの取締役を社長に選定する予定。
再生債権の弁済方法は、100万円までは100%、100万円を超える部分は5%弁済するとしている。未確定債権については、金額が確定し次第追加弁済する。弁済率は現時点では未定。
SKYの社員については、原則として雇用を維持する。全日本空輸(ANA/NH)とのコードシェアについては、国土交通省航空局(JCAB)の認可が下り次第実施する予定で、対象路線は今後協議する。
記者会見にはSKYの井手隆司会長とインテグラルの佐山展生代表、ANAHDの長峯豊之上席執行役員、DBJコーポレート・メザニン・パートナーズの本野雅彦取締役、監督委員の多比羅誠弁護士、申立人代理人の中原健夫弁護士の計6人が出席した。
SKYの独立性について、佐山代表は「独立性は最重要項目。ANAHDとUDSとは、そういった観点で株主間契約を締結した。独立性を維持して合意している」とし、長峯氏は、独立性には皆が注目しているとし、「運賃などはSKYが独自で決める。ANAは策定プロセスに関与しない」と述べた。
社長をUDSから選定する。具体的な人選について、本野氏は「調整中で申し上げられない」とし、明言を避けた。
今後の路線計画について、井手会長は「現在運航している枠内で決定する」とし、佐山代表は「たくさん利用してもらえるところに飛ばす。米子や仙台は運休するが、その分を、ほかの路線に振り分ける」と述べ、秋以降についてはANAと協議するとした。
長峯氏は、SKYがリースで導入予定だったエアバスA330-300型機ついて、リース元の航空機リース会社、イントレピッド・アビエーションとANAHDが交渉していた事実を明らかにした。導入できるかどうかの可能性を協議したのは事実とし、「検討したが都合に合わなかった。協議の中身は守秘義務で明かせない」と述べた。また、一部で報道されたエアバスとのA380導入については、「協議していない」とし、否定した。
中原弁護士によると、イントレピッドの債権額は1150億円強、エアバスは880億円強。
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