新関西国際空港会社は7月13日、関西空港の国際線着陸料を5%引き下げるなどの経営戦略を発表した。10月28日からの冬ダイヤから実施する。着陸料の引き下げは2001年以来11年ぶりで、成田空港よりも10%以上高い現状を是正。14年度には現在より10%引き下げて同等になるよう検討を進める。
経営統合した伊丹空港についても、低騒音機材の導入で着陸料を引き下げる料金体系を13年度中に導入したい考え。着陸料引き下げのほかに、7月20日から運行する関空と伊丹両空港を結ぶ無料バスによる利便性向上や、老朽化した伊丹のターミナルビル改修を含む商業施設の収益向上を図る。
関空の着陸料については深夜・早朝便の大幅割引も検討。2期島に10月開業予定の低コスト航空会社(LCC)専用ターミナルなどと併せ、LCCの拠点空港としても売り込みも行っていく。
専用ターミナルの駐機スポットは9機分で、就航中のピーチ・アビエーション(APJ)とジェットスター・ジャパン(JJP)の就航便数によっては近いうちに手狭となる可能性があるが、LCC側の意向によっては新たなターミナル建設も検討するという。
現在の着陸料収入は関空が150億円、伊丹が100億円。着陸料引き下げによる減収分は「自助努力で埋め合わせる」(新関空会社の室谷正裕常務)考えで、経営統合による業務効率の改善やコスト削減を推し進めて対応する。
空港の商業施設の収益拡大については、空港の観光スポット化による搭乗客以外の利用増加をねらう。魅力的な商業施設作りのため、テナント料の25%引き下げや賃料への売上連動比率の引き上げなどを実施する。伊丹空港のターミナルビル運営会社「大阪国際空港ターミナル(OAT)」の株式取得は来年夏にも行い、空港と商業施設経営の一体化を急ぐ。室谷専務は「旅客が2倍なら(商業施設の)売上は2倍以上に」と語り、航空需要の伸びを商業施設の売上につなげていく姿勢を示した。
これらの施策により、14年度には発着回数を現在の23.1万回(関空10.8+伊丹12.3万回)から30%増の30万回、旅客数を2677万人(関空1386+伊丹1291万人)から23%増の3300万人、貨物量を82.5万トン(関空71.2+伊丹11.3万トン)から21%増の100万トン、売上を1188億円(関空883+伊丹117+OAT188億円)から26%増の1500億円の実現を目指す。
新関空会社では、今秋にも中期経営計画を発表する。
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