ボーイングとナブテスコ(6268)は3月10日、次世代大型機777X向けの、飛行中に機体の姿勢を制御する「フライト・コントロール・アクチュエーション・システム(操縦制御システム)」の供給で合意したと発表した。
777Xは現行の777の後継機で、生産開始は2017年、初号機の引き渡しは2020年を予定している。ナブテスコは現在、777向けにエルロンとフラップ、ラダー、エレベーターの計4種類のアクチュエーターを供給している。777Xではこれらに加え、スポイラーを含むフライトコントロール用アクチュエーター計8種類をすべて受注した。
777向けには1機当たり15本のアクチュエーターを供給しているが、777Xでは2倍強の35本となる。技術面では777のものを継承し、開発リスクを最小化する。
ナブテスコは、777と747-8向けにアクチュエーターとこれを制御するシステムを含めて供給しており、777X向けもシステムとして供給する。2013年には737 MAX向けのスポイラー・アクチュエーターも受注しており、ボーイングが求める仕様や価格などのレベルを深く理解できていたことも、契約獲得の追い風となった。
777Xは777と同じく主要構造部位の21%を、三菱重工業(7011)と川崎重工業(7012)、富士重工業(7270)、新明和工業(7224)、日本飛行機の5社が分担する。各社はボーイングのコストダウン要求に合わせて、工程の自動化を進めている。
ナブテスコの長田信隆・航空宇宙カンパニー社長は、「航空機はたくさん作るといっても数がしれており、自動化の設備投資をペイできない面があった。今回は1機あたり35本とまとまったてきたので、設計を共通化してロットサイズを大きくすることで、自動化を検討したい」と、コスト競争力を強化する考えを示した。
生産体制は航空機器を製造する岐阜工場のほか、米国子会社の活用も視野に入れた二極体制を検討していく。
777Xは777-8Xと777-9Xの2機種で構成され、3クラスの標準座席数は777-8Xが350席、777-9Xが400席、航続距離は777-8Xが9300海里(1万7220キロメートル)以上、777-9Xが8200海里(1万5185キロメートル)以上を計画。これまでに受注や発注コミットメントを6社から300機獲得している。
日本の航空会社では、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(9202)が、777-9Xを777-300ERの後継機として20機を2014年7月に正式発注した。
関連リンク
Boeing
ボーイング・ジャパン
ナブテスコ
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