スカイマーク(SKY/BC、9204)は2月13日、出発前に必要な整備作業を行わずに運航し、国土交通省から厳重注意を受けていた問題で、改善計画書を同省に提出した。
SKYのボーイング737-800型機のうち1機(登録番号JA737Q)が1月19日、出発前の整備作業を実施していなかった。
当該機は1月16日に運航中、エレベーター(昇降舵)の操舵感覚をパイロットに伝える「エレベーター・フィール・システム」の異常を知らせる警告が、コックピットに表示された。機体を確認したところ、エレベーターには異常はなく、警報装置の故障であることがわかった。
SKYには部品がなかったことと、メーカーが定める「MEL(運用許容基準)」で3日間は故障していても一定条件を満たせば運航できたことから、出発前に操縦系統の作動点検を実施した上で運航していた。
ところが、20日にMELの延長申請を国土交通省航空局(JCAB)に提出した際、19日の点検記録がないことが発覚。担当した整備士は点検が必要であることは認識していたものの、他の機体の整備作業が入るなどで出発までに点検できないと考え、操縦系統に大きな不具合が見受けられなかったことから、点検しないまま出発させた。JCABによると、16日から18日までと20日の点検記録はあったという。点検が行われていない状態で、羽田発那覇行きなど6便が運航されていた。
SKYが提出した計画書では、全社向けと整備・運航部門向けの対策を構築。全社向けの再発防止策では、安全意識の再徹底とのコンプライアンス教育を強化し、安全意識の向上を図る。
整備部門や運航乗務員部門には、整備作業は書面で指示する体制を構築。整備の計画や実施に適正な人員を配置、資材計画や施設・設備計画を含めた生産体制を構築する。整備作業記録は、確認担当者を配置して組織的に確認。運航乗務員には、出発前の機体状況や整備記録の確認を徹底させる。
また、安全統括管理者の松尾愛一郎取締役が役員報酬の1カ月分10%を自主返上。3人の担当整備士については1カ月10%の減給処分とし、ラインメンテナンス部長をけん責処分とした。
再発防止の一環として、SKYが保有する27機の737-800と5機のエアバスA330-300型機の整備記録を2月15日までに再確認した。同社は16日午後、JCABへ報告する。
関連リンク
スカイマーク
スカイマーク株式会社に対する厳重注意について(国土交通省)
・国交省、スカイマークに厳重注意 出発前の整備不備(15年1月30日)
【お知らせ】
8段落目、処分内容を追加しました。(2015年2月16日 12:57 JST)
最終段落(9段落目)にある整備記録の確認作業について、スカイマークに事実確認したところ、再確認を終えたとの回答を得ましたので、同段落の記述を更新しました。(2015年2月16日 12:50 JST)