富士重工業(7270)は1月20日、愛知県半田市の半田工場敷地内の新工場について、建設に着手したと発表した。ボーイングが開発中の次世代大型機777X向け中央翼の組立工場となる。航空機の組立工場としては3棟目で、2016年に完成予定。
777Xは現行の777の後継機で、生産開始は2017年、初号機の引き渡しは2020年を予定している。富士重が製造する中央翼は、胴体と主翼をつなぐ重要な部位。半田工場では777と787の中央翼や、防衛省の哨戒機P-1と次期輸送機C-2の中央翼などの組立作業を行っている。
新工場を含む777X関連の設備投資額は100億円規模を予定。中央翼の組立作業の集積や、完成品の輸送効率を考慮し、半田工場内に新設を決めた。富士重では半田工場について、「世界に例を見ない、中央翼生産センターとなる」としている。
また、新工場は2014年12月17日、愛知県による「21世紀高度先端産業立地補助金」の「平成26年度第2回補助対象案件」に選定されている。
777Xは777-8Xと777-9Xの2機種で構成。3クラスの標準座席数は777-8Xが350席、777-9Xが400席、航続距離は777-8Xが9300海里(1万7220キロメートル)以上、777-9Xが8200海里(1万5185キロメートル)以上を計画している。
日本の航空会社では、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(9202)が、777-9Xを777-300ERの後継機として20機を7月に正式発注した。
777Xの製造には、富士重など日本企業5社が参画。分担割合は現行の777と同じく、主要構造部位の約21%となる。
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