三菱航空機のリージョナルジェット機MRJがロールアウトし、ボーイング777型機の後継機777Xの製造に三菱重工業(7011)と川崎重工業(7012)、富士重工業(7270)、新明和工業(7224)、日本飛行機の日本企業5社の参画が決まった2014年。エンジン分野でも、IHI(7013)と川崎重工業(7012)、三菱重工航空エンジン(MHIAEL)が参画するエアバスA320neo向けエンジン、米プラット・アンド・ホイットニー社製「PurePower PW1100G-JM」がFAA(米国連邦航空局)の型式承認を取得するなど、日本の航空産業には明るい話題が続いた。
国内の航空機産業と言えば、三菱重工の名古屋航空宇宙システム製作所(名航)のお膝元である東海地区が有名だ。しかし、関東地方でも、富士重工が拠点を置く栃木県も航空機用部品の製造で重要な役割を果たしている。県も、2007年11月に産学官連携組織「とちぎ航空宇宙産業振興協議会」を設立し、地元企業を支援している。
同協議会に加盟する宇都宮市の東都工業では、隣接する鹿沼市に鹿沼工場(延床面積1700平方メートル)を8月に新設。787の中央翼を構成するアルミやチタン製部品を製造する。同社では777X関連の受注も見据えて、新工場の拡大を決めた。9月に稼働した新工場は、2015年秋にも増床部分を稼働させる計画だ。
同社では、これまで1台だったチタン加工機を、新工場竣工時に3台追加導入。アルミの5軸加工機は6台が稼働し、多関節ロボットの導入でラインを自動化している。
投資額は総額約10億円で、国の補助金を活用。生産能力は約2倍になった。佐畑浩司社長は「昼間のうちに夜間作業分をセットすることで、24時間稼働を実現している」と説明する。
部品製造を担う787の受注残は840機以上で、ボーイングでは現在の月産10機の生産レートを、2016年までに同12機、2020年までには同14機に増産する。新工場の増床により、増産に対応する。また、2017年から製造が始まる777Xについても、富士重工を始め日本企業が参画することから、受注を見込み先行投資する。
増床部分は新工場の東側で、建屋を延長。設備を含めて約10億円かけ、約1300平方メートル増床する。
東都工業の売上高は2014年8月期で約11億円。新工場への投資などにより、3年後に約15億円を目指す。
2015年は航空機に携わる製造業にとって、今後の機体増産に向けた対応が進む1年になるだろう。
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東都工業
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