エアバスは総2階建て大型機A380について、エンジン換装型の検討は今後進めるものの、生産中止については否定した。Aviation Wireの取材に対し、12月15日までに回答した。
同社は現地時間10日、ロンドンで投資家向け説明会を開催。この中でA380の販売不振について質問が出た際に、ハラルド・ウィルヘルムCFO(最高財務責任者)が新型エンジンへの換装型「A380neo」について、2018年にも検討する可能性があると言及。生産中止は選択肢のひとつとしながらも、可能性は非常に低いとした。
ファブリス・ブレジエCEO(最高経営責任者)は、生産中止の可能性が報じられたことに対して、「現行のA380のマーケティングを強化することが先決。A380neoは、いつか検討することになるだろう」とコメントした。
A380に対する悲観的な見方に対し、世界最多のA380を運航するエミレーツ航空(UAE/EK)のティム・クラーク社長は、航空会社の評価サイト「AirlineRatings.com」のインタビューで、「1日5往復を運航するドバイ-ロンドン線の搭乗率は95%」と好調であることを強調。アッパーデッキに備えられたシャワーやラウンジについても、競合からは笑われたが、乗客からは支持されていると応じた。自社と比べて他社の内装への考え方は「極めて保守的」とし、1970年代の考え方だと論じた。
UAEはA380を140機発注し、55機を受領済み。A380neoがローンチした場合、クラーク社長は「140機発注する」と発言した。
A380は2007年10月、シンガポール航空(SIA/SQ)がシンガポール-シドニー線で運航を開始。エンジンは英ロールス・ロイス製トレント900と、米エンジン・アライアンス製GP7200のうち、いずれかを選択できる。
今年2月にワイドボディー機の大手リース会社アメデオ(旧ドリック・リース)が、2013年に覚書(MoU)を交わしていた20機を正式発注した。一方、7月にはスカイマーク(SKY/BC、9204)からの6機の発注について、エアバス側が契約を解除している。11月30日現在、19顧客から318機を受注。147機が引き渡し済みで、残り171機の生産には5年以上かかる見込み。
関連リンク
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エアバス・ジャパン
エミレーツ航空
AirlineRatings.com
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【お知らせ】
7段落目にスカイマーク向けA380の契約解除の記載を追記し、Yahoo!ニュース配信記事と同内容に揃えました。(2014年12月15日 13:27 JST)