ファーストクラスを設けた国内線用ボーイング767-300ER型機の改修初号機(登録番号JA602J)を、12月8日から羽田-伊丹線に就航させた日本航空(JAL/JL、9201)。2-1-2のシート配列で5席設け、このほかにクラスJが2-2-2配列で42席、普通席が2-3-2配列で205席の計252席となる。
従来JALの国内線用ファーストクラスのシートは、KIホールディングス(旧小糸工業、6747)が製造していた。しかし2010年、同社で航空機用シートの衝撃試験や耐火性試験の結果を改ざんするなどの不祥事が発覚。新規シートの出荷停止などの措置を受けた。新規開発した767用シートは、天龍エアロコンポーネントが製造する。767用は従来と比べて、センターディバイダー(仕切り)やセンターコンソールを大型化した。
767では、1列5席による個室感やプライバシー確保を重視。大型テーブルは、押し込むとバネの力で引き出し時に補助する機構を取り入れ、出し入れしやすく改良した。センターコンソールを大型化したことで、テーブルにノートパソコンや書類を広げても、コーヒーなど飲み物を置きやすくし、利便性を向上させた。
プライバシー確保にこだわった理由のひとつに、利用者の特性がある。同クラスは1人で利用するビジネス客が多く、機密性の高い資料を機内で広げても他人から見えないよう、ディバイダーを大きくした。一方で、曲線を描くデザインを取り入れることで、客室乗務員が窓側の乗客へサービスしやすくしている。
足もとを広くしたことから、壁面のポケットが遠くなった。このため、センターコンソール脇にもポケットを設け、機内誌や書類を置けるようにした。
伊丹線に就航する767は全3クラスに本革シートを導入し、機内照明をLED化した国内線新仕様機「JAL SKY NEXT(JALスカイネクスト)」。夜間用の照明パターンはブルーを基調とするなど、季節や時間帯でさまざまな雰囲気を作り出せる。無線LANによる機内インターネット接続サービス「スカイWi-Fi」には当初は未対応で、2015年度中の対応を予定している。
ファースト以外のシートメーカーは、クラスJがKIホールディングス(旧小糸工業)と米TIMCO、普通席がゾディアック・シート・フランス(旧シクマ・エアロ・シート)。クラスJは、既存シートの表面素材を布から本革に張り替え、クッションを新調することで新シートとしている。
5月から導入した普通席の新シートは、背もたれを従来と比べて薄くした。新シートにより、足もとのスペースを最大5センチ拡大。ワインレッドのシートベルトとステッチを取り入れ、本革の黒のみでは重くなってしまう機内の雰囲気にアクセントを付けている。
ファーストのある767は当初1機のみで、計9機を改修。伊丹線での運航を前提にしているが、札幌や福岡、那覇の幹線各線への導入も検討していく。
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