ボーイングは現地時間12月3日、持続可能なバイオ燃料「グリーン・ディーゼル」を使用した試験飛行を実施したと発表した。787-8型機を使用した「ボーイング・エコ・デモンストレーター・プログラム」の一環。
テストフライトでは、グリーン・ディーゼルを15%、既存のジェット燃料を85%混合したものを左エンジンで使用。FAA(米国連邦航空局)と英ロールス・ロイス、米プラット・アンド・ホイットニーと連携、燃料の混合は米EPICアビエーションが実施した。燃料を供給したフィンランドのネステオイルによると、CO2(二酸化炭素)排出量は50から90%程度削減できるという。
グリーン・ディーゼルは米国や欧州、アジア各地で8億ガロン(約30億リットル)を製造することができ、世界で必要な航空燃料の1%を供給することができる。卸値は米国政府の奨励インセンティブ込みで1ガロンあたり約3ドル。
グリーン・ディーゼルは植物油や動物性油脂、使用済みの食用油から製造。水素を混合させて精製する。「再生可能ディーゼル」とも呼ばれており、あらゆるディーゼルエンジンに対応しているが、メタノールを混合する「バイオ・ディーゼル」とは化学的に異なる。
ボーイング・エコ・デモンストレーター・プログラムはFAA(米国連邦航空局)やNASA(米国航空宇宙局)などと連携し、環境性能向上を目的に実施。日本の企業や団体では日本航空(JAL/JL、9201)のほか気象庁気象研究所、国立環境研究所、JAL財団、航空機内装品大手のジャムコ(7408)などが参画している。
バイオ燃料は機体メーカーや航空各社が開発に本格的に着手している。5月にはボーイングとエンブラエルが、研究機関をブラジルに共同設立。同月エアバスは、ユーカリから製造したバイオ燃料が航空機に適しているとの研究成果を発表している。8月にはボーイングと南アフリカ航空(SAA/SA)などがタバコ種子から、10月にはボーイングとCOMAC(中国商用飛機有限責任公司)がいわゆる「下水油」から精製するバイオ燃料を研究を開始している。
関連リンク
Boeing
ボーイング・ジャパン
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