日本航空(JAL/JL、9201)は11月13日、国内外から集まった空港係員(グランドスタッフ=GS)が空港での接客スキルを競うコンテスト「空港サービスのプロフェッショナルコンテスト」の第3回目を、東京・羽田の同社第一テクニカルセンターで開催した。本選に挑んだ13人のうち、ソウル金浦空港のイ・ダヘさんが優勝した。海外空港支店の参加は今回が初めて。
同コンテストの第1回目は2013年2月、空港のチェックインカウンターを模した「空港サービスモックアップ」を同センター内に設けて1周年を迎えた際に実施。JALは2016年までの中期経営計画で、世界一の航空会社となることを目標にしており、GSのサービス向上を目指して始めた。
JALには国内外合わせて約5000人のGSが在籍している。今回は海外からもコンテストに参加し、12日の最終予選には国内外58人が出場。13人が13日の本選に進んだ。
本選ではイレギュラー状況を想定した日本語と英語によるアナウンスと、カウンターチェックイン実技で審査。カウンター審査は、これまでよりも空港で起こりうる状況設定に近づけ、搭乗を急ぐビジネスマンや、機内に持ち込めないサイズのカバンを持ち込みたいと粘る人、外国人、列に割り込んでくる人など、教官らが演じる5人の異なるタイプの利用者に対し、どのように対処するかを審査した。
審査の結果、ソウル金浦空港のイ・ダヘさん(06年度入社)が、審査員全員の一致で優勝。準優勝は熊本空港の前方真季さん(07年度入社)で、特別賞には成田空港の大見怜加さん(12年度入社)が選ばれた。
また、植木義晴社長から、徳島空港の内村瀬里奈さん(10年度入社)と小松空港の塩梅麻依子さん(06年度入社)に、社長賞が贈られた。
優勝したイさんは「海外から初参加で優勝できたことを誇りに思います。明日からは、もっとがんばれます」と喜んだ。自身で感じた受賞理由を尋ねると「日本語はまだまだですが、英語での対応を評価していただけたのかもしれません」と、照れ笑いを浮かべながら話した。
イさんはコンテスト出場について、「日本人のサービスはこういうものだ、ということが学べました」と振り返る。「(日本人係員が)自然に身につけている動きや丁寧さは、短期間で身につけられるものではありません」と難しさを感じながらも、韓国で同僚たちに今回学んだことを教えたいという。
植木社長は、優勝したイさんを「すごく安定していたし、安心して見ていられました。日本人だからとか、日本人ではないという観点ではなく、日本人のおもてなしの心でがんばってくれました」と評価した。
一方、社長賞を受賞した内村さんと塩梅さんは、英語による外国人の接客に苦戦したが、カウンターから飛び出し、身振り手振りを交えて搭乗口を案内するなど、できる限りのことを実践していた。
植木社長は、「(コンテストの)初回はもっと形を求めていたような気がします。今回社長賞に選ばせてもらった二人は、決して成績が良かったわけではないけれど、接客を受けた外国人(教官)は、もう一度会ってみたいと感じていました。心を伝えられる人の価値は、必ずあると思います」と、接客における成績の優劣以外にある価値観の重要性を語った。
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日本航空
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