エールフランス-KLMグループの旅客営業・マーケティング部門最高責任者パトリック・アレクサンドル氏は10月9日、都内で会見し、9月15日から30日までエールフランス航空(AFR/AF)のパイロット組合がストライキを実施したことについて、「皆様方に大きなご迷惑をおかけして申し訳ない」と謝罪した。
また、AFRの今後の戦略や羽田と成田の住み分けなどを説明。日本との関係を強化したいとの意向を示し、日本航空(JAL/JL、9201)との提携関係についても言及した。
主な内容
・スト損失は4億5000万ユーロ
・成田縛りは制約ではない
・JALと共同事業の可能性も
スト損失は4億5000万ユーロ
今回のストは、AFR-KLMグループのLCC(低コスト航空会社)であるオランダのトランサヴィア航空(TRA/HV)へのパイロット移籍問題により起きた。アレクサンドル氏は「パイロットに対して、移籍の説明がスムーズに進まなかった」と説明。ストの影響により、3億2000万ユーロから3億5000万ユーロの損失が発生し、補償などでさらに1億ユーロがかかることから、合計4億5000万ユーロ(約616億円)の支出が生じるという。
LCCについてアレクサンドル氏は「LCCという新しい潮流は、欧州のみならず日本でも伸びている。需要があり決して無視できない流れだ」と指摘。ビジネス客が仕事でAFRの長距離便に乗り、週末はマイルを使ってTRAでギリシャへ旅行するといった例を挙げた。
ストについては、「欧州で長い歴史を持つ航空会社で起きている。(IAG傘下の)ブリティッシュ・エアウェイズ(BAW/BA)とイベリア航空(IBE/IB)がLCCを強化する際にも労組で問題があり、ルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)でもLCC導入が労使問題になっている。特殊な問題ではなく、新しいビジネスモデルを取り込む際に起きている」と背景に説明。今回のストはフランス国内でも評判が悪かった上に、社内でもストに参加しないパイロットなど、いろいろな方面から組合に圧力がかかったという。
AFR-KLMグループでは、短距離路線を強化するためTRAに投資。「われわれが置かれている財務状況を考えると、TRAの計画は進めていく必要がある」とし、「リスクを取らないとチャンスを得られないことを、組合側も理解したのだろう。今までのビジネスモデルを存続するのは無理だ」と交渉が妥結した要因を述べた。
コスト削減と競争力強化を推進するAFR-KLMグループの改革プロジェクト「トランスフォーム2015」は今年で終わり、10億ユーロのコストを削減。今後は「パフォーム2020」として、グループでの長距離路線強化やアライアンスをフル活用することで、競争力を付けてきている中東勢と対峙していく。
アレクサンドル氏は「今年は単年度黒字になるタイミングだったが、1年遅れることになる。ストの影響による4億5000万ユーロは1回限りの支出であり、痛みを伴ったがストを経てLCC戦略の扉が開いた」と、ストの影響による単年度黒字の先送りに言及した。
成田縛りは制約ではない
日本市場について、アレクサンドル氏は「輸送量は円安と消費増税でマイナス5%。しかし、これらのマイナス要因は徐々に消えていく」との見方を示した。ビジネスクラスが順調であることから、「2015年は輸送量が安定するだろう」と述べ、「日本国内の経済が活性化すると、日本から欧州への需要も2015年は今年に比べて伸びていくだろう」と語った。
羽田便と成田便については、補完関係にあると説明。「羽田便は日本の国内線との乗り継ぎが非常に楽。夜の便はロードファクター(座席利用率)が平均90%で、日中の便もビジネス需要が好調だ」(アレクサンドル氏)と述べた。
AFRは26日から始まる冬ダイヤでは、羽田発便の出発時刻をAF279便は午前7時35分から午後1時40分に、AF293便は午後10時15分から午前0時30分に変更し、利便性を高める。
「今は朝が早い。午後1時40分発になると観光客も乗るだろう。パリに着くと乗り継ぎが便利で、市内に向かうのも道路が混んでいない」と期待する。
一方、成田便については団体旅行が堅調で、ビジネス需要が多い羽田便とは利用者層が異なるとした。また、フランスの海外領土であるニューカレドニアから、エア・カレドニア・インターナショナル(エアカラン、ACI/SB)を使って成田を経由し、フランス本土に帰る人の需要があるという。
「われわれは成田縛りを
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