航空機内装品大手のジャムコ(7408)は9月5日、ボーイングから次世代大型機777X向けラバトリー(化粧室)を独占受注したと発表した。年間で30億円から50億円弱程度の受注額となる見通しで、長期の複数年契約を締結した。
777Xは、現行の777のうち長距離国際線向けの777-300ERの後継機。主翼などに複合材を取り入れ、燃費の良い新型エンジンに換装する。一方で、胴体の構造は既存の777を踏襲し、787で採用した複合材は使用しない。
2017年から始まる試験機製造に合わせてラバトリーの設計や試作に着手し、2019年から量産開始。ボーイングでは、2020年から航空会社への引き渡しを始める。
777X向けと合わせて、現在ジャムコがボーイングへ納入している777と747-8、767貨物機向けラバトリー、787向けラバトリーとギャレー(厨房設備)、バーカウンター、操縦室の内装パネルと収納ボックス、操縦室ドアと周辺隔壁の供給契約も更新。契約期間は納入品目により異なるが、すべて長期の複数年契約で更新した。
ジャムコでは、1979年に767向けラバトリーをボーイングへ初納入。その後は747や777向けラバトリーを供給しており、787はラバトリーやギャレーなど内装品を独占供給している。
777Xの製造には日本企業5社も参画。三菱重工業(7011)と川崎重工業(7012)、富士重工業(7270)、新明和工業(7224)、日本飛行機が参画し、現行の777と同じ主要構造部位の約21%を分担。三菱重工が後部と尾部胴体、乗降扉を、川崎重工が前部と中部胴体、主脚格納部、貨物扉を、富士重工が中央翼、中央翼と主脚格納部の結合、主脚扉、翼胴フェアリング(前部)を、新明和が翼胴フェアリング(中・後部)を、日飛が主翼構成品の製造を担当する。
一方、787では三菱重工が担当する主翼は、ボーイングがワシントン州エバレットの自社工場で製造。787は分担比率が35%まで増加したが、主翼を製造しないことで現行の777と同等にとどまった。
777Xは777-8Xと777-9Xで構成。3クラスの標準座席数は777-8Xが350席、777-9Xが400席、航続距離は777-8Xが9300海里(1万7220キロメートル)以上、777-9Xが8200海里(1万5185キロメートル)以上を計画している。
日本の航空会社では、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(9202)が、777-9Xを777-300ERの後継機として20機を7月に正式発注した。
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ジャムコ
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