国土交通省は9月1日、スマートフォンやデジタルカメラなど電子機器の航空機内での使用制限を一部緩和した。オーディオプレーヤーなど電波を発しない機器であれば、搭乗時から降機まで常に利用できる。電波を発する電子機器は搭乗後、機内モードなど電波を発しない設定にすれば利用できる。
幹線用機材はほぼタイプ1
同省航空局(JCAB)では、機体により機器使用の可否を区分。通信に必要な電波と微弱な不要電波への耐性で区分し、どちらも耐性があるものを「タイプ1」、後者のみ耐性があるものを「タイプ2」、前者のみ耐性があるものを「タイプ3」、どちらも耐性がないものを「タイプ4」とした。このうち、国内の旅客機はタイプ1と2に該当する。
タイプ1に区分されるのは、ボーイング787、777、767-300(JCABの電波耐性の確認が取れた機体)、737-800、エアバスA380、A320、ボンバルディアCRJ200、DHC-8-Q400、エンブラエル170など。機齢の若い機体はおおむねこのタイプに属する。
タイプ2には767-300(電波耐性の確認が取れていない機体)、737-500、737-400、DHC-8-Q300、DHC-8-Q100、サーブ340B型機などを区分。退役が近づく機種や一部地方路線で運航されている機種が該当している。
日本航空(JAL/JL、9201)によると、同社の767はタイプ1に分類され、羽田発着便の機材は一部を除きタイプ1だという。グループの日本トランスオーシャン航空(JTA/NU)が運航する、羽田-石垣線などがタイプ2に属する737-400を使用しているためだ。
無線LANやGPS搭載デジカメは要注意
タイプ1と2はいずれも、デジカメやオーディオプレーヤーなど電波を発しない機器は、搭乗から降機まで使用でき、離着陸時もデジカメで撮影できる。一方、最近のデジカメは無線LANやGPSを搭載しており、スマートフォン同様に機内モードを備える機種もある。無線LANなどを搭載するデジカメは、必ず機内モードに設定しなければならないので、注意が必要だ。
スマートフォンやタブレット、ノートパソコンは、機内モードなど電話回線につながらない設定にすれば常時使用可能になった。電波を発する状態では、出発時はドアが閉じるまで、到着時は地上走行を終えて客室乗務員がアナウンスをした段階から利用できる。しかし、通話は従来同様できない。
タイプ1とタイプ2で異なるのは、タイプ1は無線ヘッドフォンや無線マウスなど、ブルートゥースなどで電子機器同士が無線通信する機器が使える点。一方、タイプ2は従来と同じく使用できない。
また、JALなどが機内で提供する無線LANによるインターネット接続サービスは、国内線では離陸の約5分後から、着陸の約5分前まで利用できる。
使用制限緩和の初日となった1日、午前7時30分に羽田を出発して伊丹へ向かう便では、朝早いこともあって多くの乗客は出発と同時に仮眠をとる人が目立った。20代の女性は「スマートフォンは機内でも使えたほうがいい。インターネット接続サービスは、大阪までで有償なら使うかは微妙。沖縄くらいなら考える」と話した。
関連リンク
国土交通省
・機内での電子機器使用、9月からこう変わる(14年8月9日)
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・JAL「スカイWi-Fi」、一足先に使ってみた(14年7月20日)