JAXA(宇宙航空研究開発機構)は8月26日、静粛性の高い超音速機の技術開発「D-SENDプロジェクト」第2フェーズを実施しなかったと発表した。試験期間中にスウェーデンにある試験場の気象条件が整わなかったことによるもので、今後は未定。
実験はスウェーデン北部、キルナ近郊のエスレンジ実験場で実施予定だった。試験期間は7月22日から8月22日までと発表、その後、気象条件が整わなかったことから26日まで延長していた。
試験は超音速機の模型を気球から落下させ、データを収集する。期間中の風力や風向きなどが試験条件に合致せず、今回は実施しないことを決定した。
JAXAによると、今後は実施の可否を含め検討していくという。
「低ソニックブーム設計概念実証」を意味するD-SENDプロジェクトは、航空機が超音速飛行時に生じる「ドン、ドーン」と打ち上げ花火のような音を伴う衝撃波「ソニックブーム」を低減する研究。マッハ2で飛行できる英仏共同開発のコンコルド(1969年初飛行)も、人が住むところでは超音速で飛行できず、実力を生かせるのは大西洋上に限られた。早めに減速してソニックブームを防ぐことが燃費悪化につながり、コンコルドは2003年に全機退役している。
JAXAが想定している次世代超音速機は36人から50人乗りの全席ビジネスクラスで、巡航速度マッハ1.6。アジアの日帰り圏化を目標に据えている。
関連リンク
D-SENDプロジェクト第2フェーズ試験サイト(JAXA航空本部)
・JAXA、低ソニックブーム試験延長 実験場気象条件で(14年8月22日)
【お知らせ】
写真を差し替えました。(2014年8月27日 17:07 JST)