国土交通省航空局(JCAB)は7月10日から、航空安全情報自発報告制度(VOICES:VOluntary Information Contributory to Enhancement of the Safety)を開始した。航空に関わる組織や個人から「ヒヤリ・ハット経験」を収集、情報共有し、航空安全の向上につなげることを目的としている。
情報の収集は第三者機関の航空輸送技術研究センター(ATEC)が担当、VOICESを運営する。第三者機関への委託は、航空安全当局による不利益処分などへの懸念を排除するため。
報告者はメールやファクス、ATECが用意したサイト上のフォームで事象を報告。ATECでの分析後、「管制・運航(大型機)」「管制・運航(小型機)」「空港・客室・航空機」の3分野の分析検討ワークグループで分析。年2回程度開催の自発報告制度分析委員会での取りまとめ後、関係者にフィードバックする。
JCABが公表している「航空輸送の安全に関わる情報」の事案発生件数は、2012年に航空事故4件、重大インシデント8件、安全上のトラブル991件、計1003件が発生。これらはこのような事例が発生した場合に国土交通大臣への報告を規定する、航空法第111条の4に基づいて国に報告される。
VOICESで扱う事案は、人的エラーや安全阻害要因はあったが、不安全事象として顕在化しなかった航空安全情報で、国への報告義務はない。JCABによると、これまでのヒヤリ・ハット経験の件数は把握できていないという。
関連リンク
国土交通省航空局
航空安全情報自発報告制度【VOICES】