日本航空(JAL/JL、9201)と全日本空輸(ANA/NH)は7月4日から、国内線運賃を普通運賃で最大9%値上げした。割引運賃の中には据え置くものもあるため、運賃全体ではJALが平均1.5%、ANAが同1.8%の値上げとなる。
4日から両社とも繁忙期の運賃設定となるため、この日から値上げとなった。両社では値上げ要因として、円安による燃油費の上昇に伴うコスト増を挙げている。燃油費は今後も上昇するとみられており、「3、4年後までのコスト増を想定した」(JAL広報)値上げとなった。
JALでは2008年4月以来、6年ぶりの値上げ。一方ANAは、今年3月7日から29日まで平均2%の値上げを実施したが、JALが追従しなかったことで3月30日から7月3日までは、消費増税分を除いて値上げ前の水準に戻していた。ANAによると、割引運賃の設定を見直したことで、前回から平均上げ幅を0.2%抑えたという。
値上げ対象外の路線もある。地方自治体と航空会社が共同で地方路線の利用者を増やすアイデアを出し合い、優れた提案に羽田空港の発着枠を3月の夏ダイヤから配分する「コンテスト枠」の3路線もそのひとつ。ANAは石見線と鳥取線、JALは山形線を獲得し、JALは据え置きとし、ANAも一部は据え置いた。
また、JALでは19日から運航を再開する伊丹-女満別線など6路線についても、値上げ対象外とした。6路線は伊丹-女満別線(1日1往復)、伊丹-松本線(1日1往復)、新千歳-出雲線(週4往復)、新千歳-徳島線(週3往復)、中部-釧路線(週3往復)、中部-帯広線(週4往復)で、いずれも2010年の経営破綻後に運休した路線。
新幹線との競合が激しい路線は、両社とも値上げ対象から外した。羽田-伊丹線の片道普通運賃の場合、前年同時期と比べて9%値上げとなる2万5200円になったが、ビジネス需要向けの割引運賃などは据え置くことで、競争力を確保する。
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